円高をモノともしない工場の意外な強み ダイキン流「ええかげん」力

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こうした独特の仕掛けを数多く持つ工場で、全般に貫かれているのが、井上会長の経営理念でもある「人」を機軸にした思想だ。作業員が気持ちよく、リズムよく作業するためにはどのような仕組みが必要なのか。滋賀製作所にはそのエッセンスが詰め込まれている。ダイキン流“ええかげん”は、関西流の「こまやかな配慮」と読み解くこともできる。

海外工場にも徐々に浸透 「最寄り化」で世界戦略

昨年11月、米マッケイ社のフェリボー工場に、ニューヨークの世界貿易センタービル跡地に建設中のフリーダム・タワー関係者が、見学に訪れた。一行は同工場の生産能力の高さに驚きの声を上げたという。その後マッケイ社は、フリーダム・タワーの大口受注獲得に成功した。

マッケイ社はダイキンが06年に買収したOLYインダストリーズ傘下のエアコンメーカー。昨年4月から、ダイキンの役員が工場を訪問し、改善活動などの基本思想や、技術伝承システムなどを順次移植してきた。その成果は着実に表れている。

北米は世界最大市場だが、エアコンシステムが日本と違うこともあり、ダイキンの攻略は遅れていた。現在、同社ルームエアコンの市場シェアは2%以下とみられる。だが、海外戦略を担当する蛭子毅取締役は「(シェア拡大に)手応えを感じている」と語る。マッケイ社を北米の橋頭堡として位置づけ、市場攻略を加速していく方針だ。

同様に、タイ工場ではダイキン流のセル生産方式を導入済み。チェコなどの欧州工場にも、自動搬送システムなどが移植される予定だ。これにより現地生産・販売の「最寄り化」が、一層強化されることになる。標榜する世界一を決して“ええかげん”にではなく、確実に、射程圏にとらえようとしている。

(梅咲恵司 撮影:ヒラオカスタジオ =週刊東洋経済)

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