日本はいまロシアと組む絶好のチャンスだ 鈴木宗男×中村繁夫が日ロ関係の未来を語る
中村:4月の日ロ首脳会談では、医療分野や都市開発などの分野で具体的なプロジェクトがいくつか結ばれましたが、北方四島での共同経済活動に関しては、魚やウニなどの養殖やエコツーリズムなどが挙がりました。
鈴木:北方四島に住むロシア人にとっても、ここで経済活動などをする日本人にとっても双方の利益になる活動をすることが大事です。たとえば択捉島には、サウナもプールもついているサハリン資本のホテルがすでにありますが、そこで働くロシア人スタッフは、流ちょうな中国語を操ります。中国と国境を接しているウスリー江近くから、ロシア人スタッフを呼び寄せ、中国人の富裕層の観光需要をあてこんでいるわけです。私は、常々、「北方領土解決までの間は日本国民による北方領土訪問について自粛を求める」という「閣議了解」をはやく外して、自由な旅行を認めたほうがいい、と言ってきました。それが北方四島の島民の生活を豊かにすることは間違いありません。
日本の中小企業の投資が決定的に重要
中村:私は昨年12月のプーチン大統領の訪日前から、ロシアの沿海州代表との面談で「2017年末をメドとしたウラジオストク港での貿易特区設立計画」を聞きました。
これなどは日ロ貿易のチャンスだと思います。ロシア極東発展省によると、貿易特区の所得税は最初の5年間はゼロで、次の5年間はたった5%。一方、企業税は普通なら32%なのに新規進出企業は7.6%。進出企業へのインセンティブはまだあります。投資金額が500万ルーブル(約7.6万米ドル)以上なら土地を安く貸してくれるし、工場建設の産業インフラはロシア側が負担します。しかも2017年末には保税工場を許可するというもので、この優遇策を利用しない手はないと思います。
またわが社などは、最近ではレアメタルの輸入開発にとどまらず、自動車バッテリーからの再生鉛やPCの電子廃基板の回収事業などの環境ビジネスに注力しています。言わば静脈産業を深掘りしているのですが、ロシアではこの産業が未発達です。だから日本のノウハウを移転すれば互いに「Win-Winの関係」になれると考えています。
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