アウシュヴィッツで考える、麻生発言(上)

アウシュヴィッツ強制収容所を訪問

予想外に美しいアウシュヴィッツの光景

あなたの家族は金曜日の夕方、自宅の屋根裏部屋で夕食を食べているところを、突然踏み込んできたSS(ナチスの親衛隊)に捕まってしまった。しかし、あなた方は別にその場で死ぬことは夢にも思わない。ナチスドイツの外国人移住政策の一環で、どうやら新天地に送られることになるらしい。

数日かけてすしずめ状態の列車でポーランドに送られるのだが、ユダヤ人であるあなたは歴史上何度も同じような強制移住を経験してきたではないか。“また一からやり直せばいいさ”と、あなたは許されている20キロまでの荷物を鞄につめて、家族と一緒にポーランドに向かうことになる。

数日間、暗く窮屈な列車に揺られてアウシュヴィッツに着くと、予想外に綺麗な場所である。美しい森林と平地に、レンガと木を組んだ建物が整然と並んでいる。入口には“働けば自由になれる”と大きく書かれた玄関があり、中に入ると所長らしき人がヘブライ語の通訳を交えて、このキャンプでの過ごし方などを解説する。説明によると私たちは二か月ほどここで働くことになり、その後新天地に永住するとのことだ。

入口には、“働けば自由になれる”という偽りの標語が掲げられている

2000人ほどの到着した人は男女別に二列に並ばされ、ナチスの軍医が列の先頭で指さし、あなたはこっちの方向、あなたはあっちの方向、と二方向に到着したての人々を誘導する。

このナチス党員の指の方向の部屋で、何が起こるかあなたの家族は知らない

働き盛りで屈強な肉体の35歳であるあなたは右の方向に誘導され、母親と、3歳の子供と二人目の子供を宿した妊婦の妻は左方向に誘導される。すぐあとで合流するとのことなので、あなたはさよならも特に言わない。お腹が減ったと叫ぶ子供にイライラしたあなたは、“がまんしなさい!と大声で怒鳴りつける。

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