サッカーも人生も「ミス」をするから面白い! 村井チェアマンが語る、Jリーグの今後(下)
――さまざまな支援サービスをクラブに提供する仕組み作りが進行中だ。
米国のメジャーリーグにはMLBアドバンストメディアという会社があり、700人ものエンジニアを雇用している。リーグ主導でデジタル基盤を構築し、クラブに提供している。クラブはこれを活用し、eコマースやチケット販売、動画のアップロードなどを行う。リーグが裏側の仕組みを一手に引き受けているわけだ。
Jリーグも同じような仕組みを作っていきたい。最近は、クラブ側も積極的にダイジェスト動画などをネット配信するようになった。そうした作業はクラブが行うが、基本のプラットフォームはJリーグが提供している。ホームページはそれぞれのクラブの仕様に見えても、裏側では同じ仕組みでeコマースができたり、チケット販売ができたり、というのをやっていく。
われわれには知見がないが、ネットを活用したプロモーションやマーケティングにおいてヤフーと提携(2015年)することで、露出を増やしている。また、4月にはグッズ販売サイトの開設などで楽天と提携した。徐々にピースがそろってきている。
今までは、リーグがクラブを管理する関係性だったが、今後はクラブ単独ではできないものを補完していくことも、リーグの役割だ。経理や法務、さらにはITサービスなど、まだまだサポートできる。こうしたメニューがそろうことで、リーグとクラブが両輪で発展していけるようになる。
「ホームタウン活動」は年間1万7000回
――地域におけるイベント活動などもファンを増やすための重要なポイントになる。現在はどんな活動をしているのか?
選手や監督、社長など、さまざまなスタッフが街に出て学校や介護施設を訪ねたりする「ホームタウン活動」を献身的にやっている。こうした活動は合計で年間1万7000回にも及ぶ。実は、クラブはJリーグに入会するとき「ホームタウンはこの市とこの町です」などと指定することになっている。「地域密着」が仕組みとして担保されているのだ。
具体的に何をやっているかというと、たとえば医療関連のスタッフが介護施設に出向き、健康によい体操やストレッチをお年寄りに教える。転倒によるケガを防止しよう、健康寿命を延ばそう、と一緒にやっている。
クラブにはマッサージ師や鍼灸師、柔道整復師など、選手を支える医療スタッフが大勢いて、地元の健康作りに貢献している。
それをさらに進め、鹿島アントラーズみたいに、スタジアムに「アントラーズ スポーツクリニック」を作って、試合がない日に診療するクラブもある。
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