「加計学園疑惑」をめぐる闇仕合は異様すぎる 真摯な国会審議なく、あざとい情報戦ばかり

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朝日新聞が特ダネとして報じた時点で官邸周辺では「前川前次官のリークでは」との噂が流され、それと符合するように前川氏が複数メディアとの「独占インタビュー」に応じたが、その最中の22日の読売新聞朝刊1面に「前川前次官が出会い系バー通い」との記事が掲載されたことで事態が複雑化した。週刊誌も文春と新潮が競い合うように「前川問題」を特集記事として掲載して「メディアも参戦した一大スキャンダル」(公明幹部)の様相を呈し、民放各局のワイドショーも連日取り上げて、視聴率を稼ぐ状況となった。

そうした中、政治外交問題で著名なコメンテーターの"女性スキャンダル"が発覚した。前川氏関連の報道と同時進行の形で週刊新潮が掲載したのが「"安倍官邸御用達"ジャーナリスト・山口敬之氏の『準強姦疑惑』」というおどろおどろしい特集記事だ。同氏は元TBSワシントン支局長(元同社政治部長)で、年明け以降は首相と親しいジャーナリストとして各情報番組のコメンテーターとして引っ張りだことなり、「首相官邸寄りの解説コメント」(自民幹部)で注目を浴びていた。山口氏のスキャンダルについては結果的に「不起訴」処分だったこともあり、新潮の記事が出た時点では他メディアが後追いせず、「永田町や霞が関での噂話」(民放政治部記者)にとどまっていた。

「山口氏スキャンダル」もみ消し疑惑も浮上

しかし、29日夕刻に被害者とされる女性が弁護士を伴って司法記者クラブで会見し、素顔とファーストネーム(姓は明かさず)をマスコミに公開する形で、検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てたことを明らかにしたことで、新聞やテレビ各局が一斉に取り上げる事態となった。一見すると「よくあるスキャンダル暴露にみえる」(司法関係者)が、海外で活動するフリーの写真家でジャーナリストと名乗る女性の「(山口氏が)逮捕寸前に『上からの指示で逮捕を見送った』と捜査員から知らされた」という発言が衝撃的だったからだ。

新潮の記事などによると、山口氏の逮捕を見送った時点での警視庁刑事部長は2015年まで菅官房長官の秘書官を務めたエリート警察官僚。さらにマスコミを驚かせたのが山口氏が相談メールを送った相手が内閣情報官ではないかという点で、新潮編集部に誤送信されてきたとする山口氏のメールのコピーも掲載されていたことだ。これが事実となれば「首相と親しいジャーナリストだから不起訴処分にしたのでは」と疑惑にもつながる。

さらに、前川氏のスキャンダル暴露と合わせれば「官邸と対立する人物は攻撃するが、官邸寄りの人物は守るという印象も拭えない」(民進党幹部)ことにもなる。この暴露記事が出る直前にテレビ画面から姿を消した山口氏は、自身のフェースブック(FB)で「法に触れることは一切していないし、起訴も逮捕もされていない」などとコメントしたが、これに安倍昭恵夫人が「いいね」したことが判明すると、「なんという無神経」などの書き込みが殺到してさらに騒ぎを大きくした。

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