「加計学園疑惑」をめぐる闇仕合は異様すぎる 真摯な国会審議なく、あざとい情報戦ばかり
5月17日に朝日新聞の「総理の意向」特ダネが報じられた際、他大手紙の一面トップはすべて「眞子様ご婚約」だった。ただ、永田町では「NHKも朝日と同じ情報を得ていたが、官邸筋から眞子様の婚約情報が伝えられ、午後7時のトップニュースで報じて各紙が後追いした」という怪情報も流れている。「まさに虚々実々の情報戦」(民進党幹部)だが、自民党の古参議員は「総裁選などで政局が緊迫すると怪情報が駆け巡るが、今回のような下ネタを絡めた情報合戦は初めて」とあきれ顔だ。
「加計学園疑惑」について連日のように未確認情報が飛び交う中、参議院では29日から「共謀罪」の審議が始まった。民進党などは参院法務委で疑惑追及を続けているが、首相は「そもそも獣医学部新設については自民党政権では認めなかったのに民主党政権で認める方向になった。安倍政権はそれを引き継いで今回の動きとなった」などといつもの民進党攻撃で追及をかわす構えだ。
民進、共産両党は「前川氏の証人喚問と衆参予算委での集中審議」を求めているが、自民党は証人喚問を「明確に必要ない」(竹下亘国対委員長)と拒否する一方、集中審議には柔軟に対応する姿勢を示す。これは「共謀罪の早期成立を狙って、参院法務委での審議促進を集中審議受け入れの条件とする高等戦術」(民進党国対)と見られており、野党も難しい判断を迫られている。
高安関口上の「正々堂々」が皮肉に聞こえる
これまでの国会攻防を見る限り「森友も加計も疑惑の核心の解明は二の次で、場外乱闘ばかりが続いてきた」(共産党幹部)のは間違いない。ネット上では「首相の地元の蕎麦屋のメニューから『もり』と『かけ』が消えた」などというブラックジョークが出回り、たくさんの「いいね」を集めているという。その一方で永田町では「野党が抵抗すれば会期末解散で都議選とのダブル選も」という噂も飛び交う。ここにきて朝日新聞が「なぜ安倍内閣の支持率は落ちないのか」という特集を組んだが、国民の求めているのは「公正で透明な真面目な政治」だろう。
5月31日に新大関昇進が決まった大相撲の高安関は伝達式の口上で「大関の名に恥じぬよう、正々堂々精進します」と決意表明した。真っ向勝負の突き押しで横綱を目指す新大関の口上は現在の政治への皮肉にも聞こえる。「共謀罪」や「森友・加計疑惑」では政府与党は「会議録を処分したからわからない」「調べたが確認できない」などの"逃げ答弁"に終始し、野党の追及も「報道によれば」と自らの調査能力欠如を露呈する場面ばかりだ。終盤国会の攻防はこれからが本番だが、永田町では「うやむやで終わり、国民の政治不信を拡大させるだけの結末になるのでは」(首相経験者)との自嘲めいた声も広がる。
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