バフェットとベゾス、2人の天才と新聞経営 読者志向を失った名門紙の凋落とこれから

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紙面はネットに対応できないまま

ポストの前編集者だったダン・フルームキンは、コロンビア大ジャーナリズム・スクールが発行する「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」に、98年にグラハム発行人(当時)と交わした言葉を回想し引用した。当時、フルームキンはポストのウェブサイト「washingtonpost.com」担当で、グラハムにこう質問した。

「もし、輪転機が郵便番号ごと、あるいはもっと小さなコミュニティによって異なる紙面の印刷ができるようになったら、一面記事はどんな風にしたいか」

それに対しグラハムは、「ポストはコミュニティをつなげる接着剤の役割だ。地域によって違う記事をありがたがる読者も一人か二人はいるだろうが、多くの人が同じ体験ができる一面にしたい」と答え、一面をカスタマイズする意志がないことを示唆した。

反対に、washingtonpost.comを当時率いていたロバート・カイザー編集局次長(当時)はこう答えた。

「ニュースに対する要求は人によって異なるし、それによって全く違う一面にしたい」

この会話は、グラハムが昔ながらの伝統を重んじたのに対し、カイザーがデジタル革命を予想し、一人一人の読者に寄り添ってニュースを提供したいという展望を持っていたことを示す。

しかし、フルームキンは、この会話から15年を経た今ですら、washingtonpost.comのバージョンは「米国」と「ローカル」の2版しかない、と指摘している。インターネットがこんなに個人によって異なる欲求を満たせる可能性があるのに、ポストの紙面もウェブサイトも、それに対応していない、というわけだ。

その上、ポストは08 年、グラハム会長の姪キャサリン・ウェイマスを、経験が浅いにもかかわらず発行人にした。今年7月には、親会社が溶鉱炉の装置製造会社の買収を発表している。「溶鉱炉会社ではピュリツアー賞は取れない」とメディアに批判されるなど、的外れな経営判断が積み重なった。

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