外資系と日系のエクセルはこんなにも違う ブランドと生産性を支える「ルールと仕組み」
最近は「働き方改革」がブームですが、業務効率を上げるのは各社員の意識の問題だけではなく、全社的に業務効率を上げる仕組みを構築することも重要です。外資系はこういう分野へは積極的に投資をしている印象を受けます。
外資系投資銀行は、エクセル作成もグローバル化
職人気質の投資銀行でも、エクセル業務はグローバル化で効率化しようという動きが進んでいます。少し昔の話になりますが、私が投資銀行業界にいた頃はインドに分析チームがあり、そのチームに頼むと企業分析や競合比較分析をしてくれるという仕組みがありました。インド人スタッフは大変優秀で、ずいぶん助けられました。
しかし、これはいいことばかりではありません。外部スタッフに分析を任せきりにしてしまうと、自分でエクセルを使う機会が減ってしまいます。やはり数字というものは、それを作った人がいちばん詳しいものです。細かい数字まで覚えていると、中間レビューなどの議論に参加しやすくなります。逆に、外部スタッフに計算を任せてしまうと、その数字への理解が不十分になってしまうリスクがあります。
また、たとえばM&Aプロジェクトの最終局面で1秒でも早く計算して買収価格を算出しなければいけないという状況では、自分でやるしかありません。やはり最低限のスキルを得るまでは、自分で手を動かすクセはつけたいものです。
ここまで読むと、多くの方は「外資の人は、たくさんサポートがあって仕事がラクそうだなあ」と思うかもしれませんが、むしろ逆で、外資系投資銀行の仕事は本当にキツイです。朝から深夜2時まで働き、週末出勤もあります。
M&Aといった大型プロジェクトを最速で進めるためには、少数精鋭である必要があります。人数が多いと、それだけでコミュニケーションに時間がかかってしまいます。人数が少なければ、いくら全員が徹夜しても作業量には限界がある。その問題を解決するためには、資料作成などの業務はできるだけ効率化させる必要があり、仕組み化やサポートスタッフの存在が必要になります。
つまり、投資銀行の最速の仕事は、「一人ひとりが深夜まで全力で働く」×「それを支える仕組み・サポートの存在」の掛け合わせで実現できるわけです。
なお、最近は、「深夜まで働く、週末も働く」という投資銀行の常識も、少しずつ変わってきたようです。先日、現役のバンカーと話していたところ、ニューヨークのあるチームでは、「月曜に営業ミーティングを入れるのは禁止」だそうです。その理由は、月曜に営業ミーティングを入れてしまうと、週末に作業する若手が増えてしまうから、とのこと。私が投資銀行にいたころは、むしろ週末に落ち着いて仕事できるほうが助かったと思ったものです。
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