知らないと損!「通勤中のケガ」の正しい対処 いつもどおり病院に行ってはいけない
今日も変わらず7時10分過ぎに自宅を出て、都内にある会社に向かったFさん(女性30歳)。通い慣れた駅までの道のりをスマホ片手に軽快に歩きだしました。ところが、その途中の階段で足を踏み外し、右脚の靭帯を損傷。タクシーを呼んで何とか自力で病院に行ったのでした。
何も考えずに病院には健康保険で受診し、2カ月ほど経った頃、大学時代の友人にケガのいきさつを話しました。すると、「通勤途中のケガだから労災でかかれば治療費はタダのはず」と友人が教えくれたので、健康保険を使ってしまったFさんは、早速、病院に「通勤途中のケガ」だったことを伝えてみると……。
「時間が経っているから、今まで払った分は切り替えができません。ご自身で健康保険組合に相談してください。ちなみに、うちは労災指定病院じゃないので、これからはいったん全額負担してもらいます」と言われてしまい、何だかよくわからなくなってしまったのでした。
通勤途中のケガなどに使える労災保険。何も知らずに健康保険を使ってしまうと、後で手続きが面倒なことになります。
通勤災害で押さえておくべきポイントとは
そこで今回は、万が一、みなさんが通勤途中にケガしたときでも、面倒なことにならないように、ここだけは押さえておきたい通勤災害のポイントを5つ話したいと思います。
1. 健康保険者証は使えない
通勤途中にケガをした場合、健康保険(健康保険被保険者証)は使えません。なぜなら、健康保険は仕事(業務上)や通勤以外の理由でケガなどをした場合が対象であり、業務上や通勤途中にケガなどをした場合は、労働者災害補償保険(労災)が対象になるからです。
労災は、労働者であれば正社員、パート、アルバイト、派遣労働者など名称に関係なく適用されます。つまり、社会保険のように労働者の中で、加入している者と加入していない者がいるわけではなく、会社に雇われている労働者であれば、たとえ1日だけのアルバイトであっても、その者が通勤途中にケガすれば労災が適用されるのです。
したがって、Fさんは出勤途中のケガなので、友人の言ったとおり健康保険ではなく、労災で病院にかかる必要があったことになります。
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