うつ病で休職中、旅行に行くのはアリなのか 会社にバレたら問題になる?
うつ病などを理由に休職している間、旅行や趣味を楽しんでもいいのでしょうか。インターネット上のQ&Aサイトには、うつ病で休職中、主治医から、気晴らしに旅行や趣味を楽しむよう勧められたという書き込みがありました。
とはいえ、病気で仕事を休んでいるのに旅行に行くのは気がひけたり、会社にバレたら問題になるかもしれない、と不安に思ったりする人もいるかもしれません。
うつ病で休職中に旅行に行ったり、趣味を楽しむことは、法的に何らかの問題があるのでしょうか。古川拓弁護士に聞きました。
休職中の旅行自体を理由とした処分は許されない
労働者がうつ病で休職中に旅行に行ったり、趣味を楽しんだりしたこと自体を理由に、会社が懲戒などの処分をすることは許されません。会社が休職を認めている以上、そのようなことを理由として(懲戒)処分を行うことに合理的理由はないからです。
休職中は治療に専念する義務があるのではないか(「療養専念義務」などと呼ばれます)という考えもありますが、旅行や趣味は健康な人でも日常生活上で行うことですし、うつ病など精神障害の療養方法として有効な場合もあります。
そのため、とても過酷な旅行に行ったり、趣味に没頭するあまり病気に悪影響を及ぼしたのであればともかく、旅行や趣味それ自体がことさらに問題視されるべきではありません。
また、会社(使用者)側としては「仕事ができない(就労不能)からこそ休んでいるのではないか」という問題意識から「本当は病気ではないかもしれない」などという考えを持つかもしれません。
しかし、そのような可能性があると考えるなら、本人の同意を得た上で、労働者の主治医の意見を求めたり、産業医への受診を勧めるなどすべきです。