好調カプコン、5期連続増益に秘策はあるか

辻本春弘社長が分析、スイッチ攻略法とは?

――デジタル販売の動向が売り上げを大きく左右するようになっている。どのような対応をしているのか。

デジタル販売においては、「プレイステーションストア」(ゲームやビデオを購入できる)といった、ソニーなどのゲーム機各社が提供するネットストアに対する打ち手が重要だ。デジタル分野における取り組みは大きく2つ。過去のゲームを現行のゲーム機向けに移植し、デジタル販売していくこと。もう1つはプロモーションやマーケティングをする部隊の強化だ。

『バイオハザード7』は近年のアクション要素を強めていた作風から脱却し、恐怖を追求するなど、原点回帰を目指した作品だ(写真:カプコン)

これから重要となるのはデータの活用だ。ゲーム機が常時インターネットにつながるようになったことで、さまざまなデータの取得が可能になった。これをどのように活用するか考えなければいけない。

マーケティング分野については、数年前から組織を拡充して強化してきた。たとえば、バイオハザード7で13カ国語に対応したので、地域ごとにどのような言語が使用されているかがわかってきた。そのデータを基に、すでに販売しているゲームに言語を追加するといったことができるようになっている。

今後はゲームの開発分野でデータを活用していきたい。これまで、データを取る手段といえばアンケートや少数のユーザーを集めて行うテストといった程度で、開発陣は暗中模索でゲームを作ってきた。今ではプレー時間やクリア率、プレーヤーがどこでつまずいたのかといったことまでわかるようになっている。それを検証することで、難易度の調整などに役立てていくことができる。

PSVR、スイッチ、激変するゲーム業界

――昨年10月にソニーからVR機器「プレイステーションVR(PSVR)」が発売され、今年3月には任天堂からスイッチが発売された。今年のゲーム業界はどう変わるか。

2017年はゲーム業界にとって非常に楽しみな年だ。昨年の10月に発売されたPSVRは、今年から本格的に量産・出荷が進むし、スイッチも今年3月に発売されてから世界的に好調だ。さらに、年末には米マイクロソフトの「Xbox」の新型機「スコーピオ」も発売される。ゲーム専用機市場が大きく盛り上がることになるだろう。

――スイッチにソフトメーカーがどのように対応するかが注目されている。どのような印象を持っているか。

実感としてあるのは、ユーザーはスイッチというゲーム機そのものに興味を感じて購入しているということ。私の小学生の二女も、それまでは家庭用ゲーム機で遊ばなかったのに、スイッチは欲しいと言ってきた。

TVモード、テーブルモードなど、さまざまな遊び方ができるスイッチにふさわしいソフトは、いったいどのようなものだろうか(撮影:田所千代美)

ソフトメーカーとして重要なのは、ユーザーがスイッチのゲームに何を求めているかを理解することだ。

スイッチに似た例として、「ニンテンドーDS」のときも、2画面という独自の機能に対する懸念が強かったが、それを覆して爆発的な売れ方をした。ただ、それは任天堂自身がその機能を生かしたゲーム展開を行ったからで、初期段階のほかのゲームはなかなか売れなかった。これは「Wii」のときもそうだ。

結局、ゲーム機の特性にフィットしたゲームを出さないと見向きもしてくれない。VRに関しても同じことがいえる。今現在、多種多様なVRゲームが出ているが、ユーザーに評価されているものはほんの一部だ。

カプコンとしては、どの機種に対してもゲームを提供できる体制を目指し、基礎研究を進めている。スイッチについても、5月に『ウルトラストリートファイターⅡ』を発売するので、状況を見ながら対応を考えていく。

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