進まない日本のIoTには「価格破壊」が必要だ 通信ベンチャー・ソラコムが値下げで攻勢

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なぜ大幅値下げに踏み切れたのか。その秘訣は「SIMの逆輸入」にある。ソラコムはNTTドコモが発行したSIMを借り受けて、2015年9月に国内で事業を開始した。

このため、国内ではドコモにSIMの発行費を払ってきた。現行の月額300円という料金には、このコストが上乗せされている。

ソラコムはベンチャーキャピタルを中心に資金調達を重ね、37億円の資本金というベンチャーらしからぬ厚い資本力を備えた。これを背景として、昨年7月、複数の通信会社と契約し、海外向けにサービスを開始。世界120カ国で通信できるようにした。

5月には日本でも海外のSIMを使ったサービスを開始。発行費を払う必要がなく、運営効率化や料金体系の工夫で、安い料金を実現できたという。

元アマゾンの創業社長

玉川社長は米アマゾン傘下のクラウド会社アマゾン ウェブ サービス(AWS)の日本事業の立ち上げを主導した人物として知られている。

「最新技術を手の届きやすい価格にし、ビジネスを始めたい人なら誰でも参加できる『民主主義モデル』にしたことがAWSの伸びた要因だ。ソラコムもAWSのようなモデルを実行したい」(玉川社長)

今回の大幅値下げによってIoTの裾野を広げることができるか。「世界で成功する可能性のある数少ない日本発ベンチャー」として注目を集めてきたソラコム。その真価がいよいよ試される。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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