「自民党」盤石じゃないが優位は崩れない理由 固定票は減っていても他党に比べれば分厚い

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2012年と2014年の総選挙で自民党が大勝した原因の1つは、民主党政権の失敗に伴う非自民勢力の分裂である。2012年は、日本維新の会、みんなの党、日本未来の党といった「第3極」が民主党と競合し、なかでも日本維新の会が比例代表で民主党を上回る票を獲得した。2014年も、維新の党が民主党に迫る票を比例代表で得たほか、共産党が大きく伸びた。このような非自民勢力の分裂が、とりわけ小選挙区での自民党の大勝をもたらしたのである。

低い投票率

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もう1つの原因は、低い投票率である。2012年の総選挙の投票率は、59.32%と戦後最低を記録し、さらに2014年には52.66%と、それを大幅に更新した。2005年の郵政選挙が67.51%、2009年の政権交代選挙が69.28%であったことと、まったく対照的である。2012年と2014年の総選挙では、いずれの政党も無党派層の動員に失敗したのであり、それが相対的に大きな固定票を持つ自民党に有利に作用したと解釈することができる。

そもそも自民党は、新たな選挙制度の下で実施された1996年の総選挙以降、低い投票率に助けられてきた。1980年代に比べて、自民党の絶対得票率は大幅に低下しているが、相対得票率でみると、あまり低くなっていないのは、投票率の低下ゆえである。そこに最大政党に有利な小選挙区制の効果が重なり、自民党は過大な議席を得てきた。高い投票率のなかで無党派層の支持を集めて大勝した2005年の郵政選挙は例外的であり、2014年こそが近年の自民党の勝利の典型的なパターンである。

国政選挙での自民党の強さを考えるうえで重要なのは、固定票が減少しながらも、他党に比べて分厚いことである。そのことは、同じく大敗を喫した2009年の自民党と2012年の民主党の絶対得票率を比較すると、理解できる。すなわち、小選挙区は自民党が26.3%、民主党が13.1%、比例代表は自民党が18.1%、民主党が9.3%であり、およそ2倍の差が存在する。

しかも、自民党は創価学会を支持母体に持つ公明党と選挙協力を緊密に行っている。確かに自民党の強さは盤石なものではない。しかし、非自民勢力が結束したうえで無党派層を動員できないかぎり、自民党の優位は崩れない。

中北 浩爾 中央大学教授

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なかきた・こうじ / Koji Nakakita

1968年三重県生まれ。91年東京大学法学部卒業。95年同大大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東京大学博士(法学)。一橋大学教授などを経て2023年から現職 。専門は日本政治外交史、現代日本政治論。著書に『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書)、『自民党政治の変容』(NHKブックス)、『自民党─「一強」の実像』(中公新書)、編著に『民主党政権とは何だったのか』などがある。

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