白斑被害はカネボウだけの問題なのか 厚労省"お墨付き"、医薬部外品の大事故は2度目

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また、「茶のしずく石鹸」問題に関連して、審査基準の厳格化が検討されてもよさそうだが、「同案件については少しずつ研究が進み、やっと同社の問題の所在がわかってきたところ。まだ基準を変更するかどうかを具体的に決められる段階ではない」(厚労省医薬食品局審査管理課)という状況。そうこうしているうちに、同じ医薬部外品で、人体に悪影響を与える事例がまたも起きてしまった。

厚労省はPMDAについて、「組織の脆弱さは方々から指摘を受けており、中期計画を立てて人員の増強を図っているところ」(審査管理課)と認める。ただ、2014年3月末の目標人員は700人にとどまる。

医薬部外品に公的な救済制度なし

医薬部外品には、万が一事故が起こった場合の、公的な救済制度が設けられていないという問題もある。医薬品によって引き起こされた後遺症などを伴う重篤な副作用については、国が金銭的な支援をする制度があり、PMDAが所管している。医薬部外品は、どんな重篤な健康被害であっても救済の対象外だ。

「医薬品には病気を治す場合に、副作用も想定されて使用されており、万が一のための救済制度がある。他方、医薬部外品は効果も緩和で、今回のような健康被害はイレギュラー」(厚労省医薬食品局安全対策課)というが、「茶のしずく石鹸」や美白化粧品などの問題を踏まえると、現行のままでいいのかという疑問は残る。

近年、化粧品業界では、食品メーカーや製薬メーカーなどの新興勢力が台頭し、ますます競争が激化している。この状況下で、具体的に機能性を表示できる医薬部外品という“付加価値”は、差別化にますます必要となっている。ただ、消費者が安心して使用できる製品を世に出していくためには、現行の審査・承認制度に改善されるべき点があるだろう。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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