日本の脅威か?「中国-欧州」貨物鉄道の実力 「一帯一路」構想の先鋒、成功の鍵は貨物量
鉄道で欧州方面に接続できる経路は、全部で3つある。
・「西ルート」――中国の内陸部から甘粛省、新疆ウイグル自治区を経由し、阿拉山口からカザフスタンへ接続。カザフスタン、ロシアを経由し、欧州へ向かう。
・「東ルート」――中国の沿岸部から東北各省を経て、内モンゴル自治区の満州里からロシアへ接続。シベリア鉄道経由で欧州へ向かう。
・「中央ルート」――華南や華中各地から内モンゴル自治区に向かい、エレンホト(二連浩特)でモンゴルへ。その後、シベリア鉄道を経由し欧州に向かう。
ちなみに、北京とモスクワを結ぶ旅客列車は、前述の「東ルート」「中央ルート」をそれぞれ通っている。一方「西ルート」を走る旅客列車は新疆ウイグル自治区の中心都市・ウルムチとカザフスタンのアルマトイを結ぶにとどまる。
欧州発の荷物をどう増やすか
現在、中国から欧州に向けて運ばれている主な貨物は、衣料品のほか、ノートブックパソコンをはじめとする電子製品やその部品、ディスプレーモニター、自動車などだという。最近では、中国で栽培された花きや鉢植えの草花が輸出された実績もある。
一方、欧州発のコンテナには、ドイツ製自動車、肉製品、家具、フランス産のワインなどが積まれているという。特に中国で人気が高いドイツ製自動車について、重慶の輸入車ディーラーは「港のある天津や上海に着くのではなく、内陸部にある重慶の貨物ターミナルで通関のうえ、商品である車が受け取れるのはとても便利」と中欧班列を使った輸入のメリットを強調する。
中国政府は2020年までに、中欧班列の運行本数を従来実績の2倍以上となる年間5000本まで引き上げるとの目標を掲げる。中国側の発表によると、中欧班列は今年1〜3月に欧州行き往路593本を運行しているが、復路便はその3分の1程度の198本にすぎない。中国からの輸出が極端に多い状況は当分続きそうだ。
「今年になって、中国と欧州を往復する貨物列車のルートが増えている」と、強気のコメントを述べる関係者もいるが、51あるルートの中には義烏―ロンドン間のように「中欧班列が走った実績がある」程度のところも数に含まれているのが現状だ。つまり多くのルートは、「貨物が集まったら走らせる」という現状を、「週に何便、と決まった頻度で走らせる」レベルまで高めることが目下の目標といえる。
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