不振「JDI」、創業来の幹部までが退任する事情 3期連続赤字、新体制の厳しい船出

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追加出資の会見では、「(JDIが生き残るには)ビジネスモデルのイノベーションを起こす必要がある。将来的にはファブレス(工場を持たない)ディスプレーメーカーという選択肢もあるかもしれない」と語るなど、今後についても意欲を見せていた矢先だった。

谷山氏は産業革新機構をすでに退職、JOLEDの取締役からも外れており、後任には同機構の東伸之氏が就いている。谷山氏の辞任は「次のチャレンジをしたいという本人の意思で、責任を取ったというわけではない」(産業革新機構幹部)という。

「米アップル依存」からの脱却が急務

JDIの本間充会長。赤字を解消できないまま、就任から2年で退任する(記者撮影)

新体制で業績回復に臨むJDIだが、6月の株主総会後、本間会長と有賀社長の後任としてJOLEDで社長を務める東入來信博氏が就任する。ただ、予定されていたJDIによるJOLED子会社化は「事業モデルのさらなる検討を行う」ことを理由に延期されており、当初3月中に締結予定だった子会社化契約は6月下旬に行うとされている。

JDIにとって、2017年度の舵取りはさらに難しくなりそうだ。売り上げのおよそ半分を占める最大顧客の米アップルは、今秋発売の新型iPhoneのディスプレイに有機ELを採用すると言われており、液晶ディスプレイの受注量が減る可能性があるのだ。

さらに中国液晶メーカーが近年投資を積極化、供給量が増えたことで液晶相場は下落傾向が続いており、数量・単価ともに下落しかねない厳しい状況を迎えている。業績回復へ向け、アップルへの依存度の低下が急務だが、車載用など新規事業の育成は遅々として進んでいない。

新体制の下でJDIは起死回生を遂げることができるのか。3000億円近い血税が投下された同社に4期連続赤字の失態などは許されない。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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