日本では不可能? 英国「母の日」にSL運転体験 母親限定、蒸気機関車を本線上で運転

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ハイス駅で発車を待つダンジネス行き列車。一時期は世界最小の公共鉄道という肩書もあったが、小さいながらも風格を漂わせる(筆者撮影)

普段お世話になっている母親に感謝の気持ちを表わす「母の日」は、日本では5月の第2日曜日に設定されている。英国においては四旬節(復活祭前の準備期間)の第4日曜日と定められ、今年は3月26日であった。

さてそんな母の日だが、毎年この日に向け、さまざまなお祝い商品やイベントが企画される。日本で最も一般的なイベントはカーネーションを贈ることであるが、鉄道会社による母の日のイベントはあまり見かけない。それよりも系列の百貨店やスーパーで開催される「母の日フェア」などのイベントに注力しているといえよう。

英国の「母の日」スペシャルイベント

英国では、特に保存鉄道において、母の日に向けたスペシャルイベントを行っているところがある。たとえば、英国南部のケント&イーストサセックス鉄道では、母の日に車内でランチもしくはクリームティーを楽しめる特別コースを設定、英国の田舎の景色を眺めながら食事を楽しむイベントが開催された。

しかし車内で食事ができる列車は、日本でもグルメ列車として、各地で運行されている。日本人にとって目新しさはない。

英国南東部に路線を持つロムニー・ハイス&ディムチャーチ鉄道は、思いもよらないスペシャルイベントを母の日に開催した。それは、母親限定で機関車を体験運転できるというものだった。

ここで、ロムニー・ハイス&ディムチャーチ鉄道について少しご紹介しよう。

J. E. P. ハウィーとルイ・ズボロウスキーの2人は、ともにレーシングドライバーで、多くの土地を所有する資産家だった。ズボロウスキーは、15インチ(約381mm)軌間を用いた本格的な公共鉄道を建設することに夢中になり、この情熱に触発されたハウィーもそれに賛同した。2人は当初、既存の鉄道を買収することなどを試みたがうまくいかなかった。それでもズボロウスキーはあきらめず、先に機関車2両をメーカーへ発注し、いつかこれらを自らの手で建設した鉄道で走らせることを夢見ながら鉄道建設へ向けて奔走した。

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