小池都知事「満員電車ゼロ」戦略に足りない点

消えた「2階建て車両」、結局は時差通勤頼み?

1988年からスタートしたフレックスタイム制は大企業を中心にそれなりに普及している。にもかかわらず、通勤ラッシュの混雑が解消しないのは、制度があっても利用が難しいからかもしれない。

小池都知事が拠り所としているのは「クールビズ」での成功体験だ。小泉純一郎内閣で環境相だった2005年、夏季はノーネクタイ、ノージャケットでOKというキャンペーンを実施し、クールビズはあっという間に日本に定着した。

成功の理由はいくつかある。まず、クールビズというキャッチフレーズのわかりやすさだ。今回の取り組みは、クールビズならぬ「時差ビズ」と名付けられ、時差通勤の浸透を狙う。

もう1つの要因は、経済界が一丸となってクールビズを推進したことだ。当時日本経済団体連合会(経団連)会長だった奥田碩氏(当時のトヨタ自動車会長)ら経済界トップがノーネクタイのファッションショーを行うなど、政府だけでなく財界も巻き込み、一気にスタートした。

協議会にはNTT東日本などが参加した。時差出勤の浸透には、賛同企業を増やす必要がある(記者撮影)

今回の時差出勤も「せーの、で一気に定着させたい」(小池都知事)。実施日までにできるだけ多くの参加企業を募りたいとする。

4月28日の協議会にはNTT東日本(東日本電信電話)、サントリーホールディングス、全日本空輸、日本マイクロソフトなどの企業が参加したが、今後賛同する企業をどこまで増やせるかが成否の鍵を握ると言ってよいだろう。

技術面での取り組みはどうなった?

一方で、供給サイドの方策である「2階建て通勤電車」にはまったく言及がない。本格導入には多額の投資が必要となり現実的には難しいという声が強い。

しかし、満員電車ゼロの元ネタとなった『満員電車がなくなる日』を著した交通コンサルティング会社・ライトレールの阿部等社長は「信号システムの改良やドア閉めと同時の出発など5つの方策により、2階建て車両より安上がりに、ラッシュ時の運行本数を増やすことは可能」と語っている(参照:都知事公約「満員電車ゼロ」は、こう実現する)。

小池都知事は技術面からのアプローチを鉄道会社に要請しないのか。協議会後の囲み取材で、記者の質問に対し、小池都知事は「技術面での改良は必要です。鉄道各社は技術面から何ができるかということでいろいろな改良を重ねている」と回答した。小池都知事も技術改良による供給サイドからのアプローチは依然、必要視している。

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