円高警戒?日本株は大型連休中にどう動くか 「駄目トランプ」でも米国に3つの明るい材料

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そもそも、通常の政権では遅くとも2月上旬までに公表される予算教書が、トランプ政権では減税策もインフラ投資の額も欠いた内容で、しかも発表が3月16日であった。しかも、あれほど脱退するかのような勢いでまくし立てていたNAFTA(北米自由貿易協定)についても、4月26日の、メキシコ・カナダとの電話首脳会談で、トランプ大統領は、なんとNAFTAを脱退しないことに賛同したという。

3つの明るい材料とは?

しかし、そうしたトランプ大統領のダメさに、失望する必要はない。明るい材料を3つ挙げよう。

一つ目は、すでに市場(投資家)が、ほとんどトランプ大統領に期待していない点だ。前述の先週の減税案の公表については、4月21日(金)に、AP通信による大統領のインタビュー記事で、続いてトランプ大統領自身の財務省における記者会見で、近日中に公表される旨が伝えられた。

これを受けて、たとえばCNBCは、「大規模な減税と言うが、どのくらいその内容が明らかになるのか、どういった形で発表されるのかは、不透明だ」と、警戒的に報じていた。このように、事前に減税案公表に対する過度な期待が薄かった分だけ、失望も生じず、実際の米株価や米ドル相場の反応は、限定的だったと言えよう。今後も、トランプ大統領の経済政策に誰も期待しないという状況が続けば、失望による米株価や米ドル下落のリスクも限られると言える。

ただし、これは秋口辺りまでのことだ。秋以降に議会で予算審議が本格化し、本当に減税もインフラ投資も金額が極めて限られる、ということが明らかになれば、未だに一部で残っているかもしれない政策期待にとどめが刺されるだろう。そのため、秋から年末にかけての、米株と米ドルの調整(およびそれに巻き込まれた日本株の調整)はありうる。

二つ目の明るい点は、政府機関や閣僚ですら、トランプ大統領に期待しなくなっている点だ。結果として、「トランプ外し」が進みつつある。具体的に、そうした動きを三つほど挙げよう。4月18日(火)には、マイク・ペンス副大統領が来日し、日米経済対話が始まった。この対話の最高責任者は、日本側は麻生太郎副総理、米国側はペンス副大統領だ。これは、日本につらく当たるかもしれないトランプ氏を、日米通商協議の席上からうまく外した、日本の作戦勝ち、との観測もささやかれているものの、予測不可能な大統領の関与を薄めたいという、米国側の意向もあるように思われる。

4月20日(木)には、日米財務相会談が行なわれ、為替問題は、日米財務相の間で協議する、という方針が確認された。すなわち、トランプ大統領を、為替の議論から遠ざけておこう、という意図が、米財務省にも存在するのではないだろうか。

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