FRBは市場よりも上振れリスクを意識しており、利上げは前倒しの可能性が高いと筆者はみている。よって6月、9月の利上げ後、12月はバランスシート縮小を予想する。FRBの想定通り、物価が2%近辺にあることが確認できれば、6月13~14日開催のFOMC(米国連邦公開市場委員会)で追加利上げは可能だろう。5月2~3日開催のFOMCでは政策変更なしと予想するが、再投資政策の計画発表時期についてアナウンスがあるかもしれない。
仮に5月発表の米4月指標に陰り(上昇一服感)が見える場合でも、24日発表の5月FOMC議事録で金融政策の正常化を進める議論が示されれば、市場は利上げを視野に入れるだろう。年3回の緩やかな利上げペースであれば、米長期金利の急上昇とはならず、米株もトランプノミクス期待があるもとでは、大きな調整には至らないとみる。
その一方で、2010年と2012年の5月は、欧州ソブリン問題が市場を弱気にさせた。2010年春はギリシャ危機、デフォルト不安からギリシャ国債が暴落、ユーロ安と世界的な株安を招いた。2012年は、5月6日にギリシャ総選挙が行われたが、連立政権樹立に向けた協議が不調に終わり、市場ではギリシャのユーロ圏離脱懸念が広がった。
今年の場合、ギリシャ経済の弱含みの動きは気になるが、主役ではない。欧州の政治リスクは目先、5月7日のフランス大統領決戦投票で、マクロン候補の勝利を確認できれば、大きく後退しよう。無事にイベント通過となれば、堅調な欧州経済や物価動向に市場の関心が移るとみる。
5月後半からECBの緩和縮小への動きも警戒
4月27日のECB理事会後、ドラギ総裁は会見で、ユーロ圏経済について「下振れリスクは一段と後退した」との認識を表明。同時に「基調のインフレ圧力は抑制されており、まだ明確な上向きのトレンドは示していない」と緩和継続の正当性も主張した。
しかしながら、27日発表のドイツ4月のCPIは前年比プラス2.0%(2月プラス2.2%→3月プラス1.5%)に上昇。欧州の物価統計の振れには悩まされるが、変化期には3か月平均で見た方がよい。筆者はユーロ圏の中でも特に労働組合が強いドイツでは、今後の賃上げに伴いサービス価格が上昇していく可能性は高いとみる。
4月から月600億ユーロに減額した国債買入れ額の更なるテーパリング(緩和の縮小)議論が、意外と早まる可能性には注意したい。次回6月8日開催のECB理事会では、声明文の文言変更も考えられる。以上より、5月後半にもなれば、6月の欧米金融政策決定会合睨みの相場となっているだろう。
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