「5月の株売り」、連休明けは何に警戒すべきか 欧米中央銀行の動きが早まる可能性も

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地政学リスクの高まりで、有事の金買いとなる一方、非鉄金属は売られたが、リスク軽減に伴って徐々に落ち着きを取り戻しつつある。米中では一部指標に頭打ち感が出ている。世界経済の強弱を点検する上で、各国指標と合わせて非鉄金属の動向を確認することが重要な局面だ。

米国の株式相場格言に"Sell In May"がある。その意味は直訳通り「5月の株売り」で、5月がほかの月と比べ相場が軟調になることが多い状況を示したものだ。その要因は、ヘッジファンドの決算が集中するためと言われる。2010年以降の米株動向を振り返ると、2010年から2013年まで4年連続で「5月の株売り」は正解だった。2014年は4月に前倒し、2015~2016年は不正解。2015年は上昇持続、2016年は行って来いの展開となった。

今年の場合、4月6日に米国がシリアを攻撃し、その後は北朝鮮にも強硬姿勢を示したことから、地政学リスクがテーマとなった。4月上旬に春の嵐が吹いて既に調整し、前倒し到来で日本株の調整は終了なのか、過去最高値圏にある米株の調整リスクを考えるべき状況にある。ここでは過去の事例を振り返り、今年の心構えにしたい。

イエレンFRB議長の発言に要注意

まずは米国の金融政策に絡むサプライズ発言の事例だ。2013年5月22日、当時のバーナンキFRB(米国連邦準備制度理事会)議長が議会証言の質疑応答で、「今後数回の会合で債券購入のペース減速を決定することもあり得る」とかなり踏み込んだ発言をした。市場は寝耳に水だったため、世界的に株式、債券が急落。市場を混乱に陥れたことから、"バーナンキ・ショック"と名付けられたのである。その後、米株の下落地合いは1カ月程度続き、米10年債利回りの上昇地合いは3カ月程度も続いた。

次に2015年5月6日。イエレンFRB議長がワシントンでの講演後、ラガルトIMF専務理事の質問に答える形で、「現時点で株式市場のバリュエーションは全般的にかなり高くなっている」と発言したことが波紋を呼んだ。幸い当日の株価下落のみですぐに切り返したが、想定外の発言に市場は揺れ動いてしまう。よって今年の5月も、米株が最高値圏にあるだけに、イエレンFRB議長の発言機会が設けられた場合には注意が必要だ。

米国では1~3月期のGDP(国内総生産)がリーマンショック後、季節的に弱く出る傾向が続いている。今年も天候要因と所得税還付の遅れが消費の足を引っ張り、前期比年率プラス0.7%と弱含んだ。4月以降に持ち直すことを確認したい所だ。季節的な弱さにすぎなければ、米国経済の緩やかな回復は変わらない。この先のポイントは、世界的なIT関連需要の強さがいつまで続くのかであり、ドル高の悪影響は企業収益等にじわりと効いてくるかだ。これらを点検しながら、トランプ政権による税制改革の議論進捗を見守る時間帯が続こう。

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