ドコモが「648円スマホ」を発売できた舞台裏 中華スマホメーカー「ZTE」の知られざる活躍
一つはSIMフリー市場への本格進出である。ZTEは2014年、NTTレゾナントの通販サイトでSIMフリースマホ「Blade Vec 4G」を販売。低価格ながら高速通信のLTEに対応した点が評価され、好調な販売を記録した。2015年には同じくNTTレゾナントの「gooのスマホ」ブランド向けで「ZTE Blade S」(g03)など4機種を投入している。
その後は単独で市場開拓を進めるようになり、低価格の「Blade」シリーズを中心として製品を次々と投入。必要十分な性能を備えながらも1万4800円と低価格を実現した「Blade E01」や、指紋認証センサーを搭載した「Blade V7lite」(2万1800円)など、コストパフォーマンスの高さを武器として存在感を高めている。
さらには、2015年の「AXON mini」を皮切りとして、フラッグシップモデル「AXON」シリーズも日本で展開するようになった。中でも昨年投入された「AXON 7」は、高いオーディオ性能を誇り、グーグルのVR(仮想現実)技術であるDaydreamにも対応する高性能を実現しながら、5万9800円とハイエンドモデルとしては低価格。ミドル・ローエンドだけでなく、ハイエンドでもコストパフォーマンスの高さをアピールし、攻める姿勢を見せている。
大手携帯3社に端末供給、二面戦略は成功するか
そしてもう1つ、ZTEの日本における戦略は、大手携帯会社に向けた端末供給の拡大だ。
ソフトバンク向けの端末開発で培った日本向けの品質管理体制を生かし、昨年からは販路を拡大するべく、ほかの大手2社に向けても供給を本格化させている。ZTEはMONOでドコモに端末供給を開始したが、これまで関係が薄かったKDDI(au)にも子供向けウエアラブル端末「mamorino Watch」(マモリーノウォッチ)を供給した。
先に述べたように、総務省の施策によって端末価格の大幅な値引きが難しくなったことから、大手3社は調達コスト自体を下げ、安価に販売できる端末を確保したいと考えるようになった。ZTEは大手3社との関係を密なものにすることで受注を増やし、事業拡大を狙っているのだろう。
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