日本上陸!アマゾン生鮮便に「死角」はないか トマト1個から超高級店のこだわり食品まで

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注文を受けて商品をピックアップ。最短4時間で受け取れる(写真:アマゾンジャパン)

アマゾン利用者はうれしいけれど…

まず考えられるのは、在庫管理の問題だ。これまで扱ってきた加工品に比べて、消費期限が圧倒的に短い生鮮品を扱う上では、ある程度の在庫ロスが発生するのは間違いない。

小売大手が営むネットスーパーの場合、店舗と在庫を共有することができるのに加え、売り場で一定時間が経過した生鮮品を惣菜に加工して販売するなど、臨機応変な対応もできる。現時点では、アマゾンがそういった機能を持つのは難しいように思われる。

配送にも課題があるだろう。物流大手を中心に人手不足が深刻化する中、アマゾンフレッシュと同じ配送網を使ってサービス提供するプライムナウの利用者数も拡大している。より品質管理が厳密になる生鮮食品が加わることで、現場の負担が増すのは間違いない。

同社はプライムナウのサービスにおいても、自社での商品拡充に加え、三越伊勢丹と組むなどして食品分野を強化している。利用者にとって品ぞろえの大幅な拡充は歓迎すべきこと。ただ、アマゾンが利用者を広げるためには、これらの課題をきっちりとクリアすることが求められそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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