バスにはバスで対抗、ドイツ鉄道の大胆戦略 列車の弱点をカバー、今後各国で広がるか

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ICバスの座席。前後間隔は狭く、パソコンを使って作業するには少々窮屈だが、座り心地は悪くない。壁面にはコンセントが設置されている(筆者撮影)

各座席には電源プラグがあり、車内Wi-Fiも装備している。通信状態は悪くなく、普通にネットを閲覧する程度であればまったく不自由ないが、車内で仕事ができるかといえば話は別だ。座席の目の前にある引き出し式テーブルにはノートパソコンは載らず、狭いのでキーボードを操作するのはつらい。隣に人がいれば、扱えるのはせいぜい携帯電話かタブレット端末程度だろう。

小規模ながら車内販売もあり、車内で飲み物やスナック菓子を買うこともできる。長距離を走る場合、供食サービスは非常に重要だ。乗務員は2人で、途中で交代しながら運転をしているため、運転をしていない乗務員は、車内販売など乗客の対応をしている。

真っ暗な高速道路はやや退屈…

18時45分、定刻にニュルンベルクを発車したICバスは、しばらく市内を走行した後、インターチェンジから高速道路へ入った。

ヨーロッパの高速道路は騒音や振動を考慮して、たいてい村や町から距離のある場所に建設されるため、夜間の高速道路では対向車線のヘッドライト以外はほとんど何も見えない。列車に乗っていると一定の間隔で駅を通過するので、だいたいどこを走っているのか見当がつくが、道路の場合は前方の座席に座っていないかぎり、標識もよく見えない。

だんだん退屈になってくるが、狭い車内ではトイレに立つ以外動き回ることもできないし、そもそも安全を考えれば、走行中はむやみに席から立ち歩くべきではない。外の景色も見えず座席に縛りつけられていては、インターネットで時間を潰すくらいしかすることはない。車内にWi-Fi環境が整っている背景には、こうした理由もあるかもしれない。

少しうたた寝をしていると、バスが減速してインターチェンジを降りたのがわかった。時計を見ると21時45分。市街地へ入り、立て看板に見える文字からチェコ国内に入ったことがわかる。だんだんにぎやかさを増す街並みへと入り込んでいくと、やがて車内放送が終点のプラハ本駅に到着することを告げた。22時05分、バスは駅前通りに面したプラハ本駅に横付けされた。22時20分到着予定だから、15分も早く到着したことになる。

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