バスにはバスで対抗、ドイツ鉄道の大胆戦略 列車の弱点をカバー、今後各国で広がるか
ICバスはドイツ鉄道が営業しているため、同社のサイトから予約ができる。もちろん、鉄道と同じ扱いなので、チケットは鉄道と同じ仕様で、鉄道との乗り継ぎ乗車券も購入可能だ。ドイツ鉄道の優待チケット「バーンカード」ももちろん通用する。今回、筆者はレールパスを利用し、レールパス割引運賃を旅行代理店経由で手配していた。鉄道と同じ扱いになっているためにレールパスも通用するが、全席指定のため座席指定料の5ユーロが必要となる。
チケットを見ると出発地は「ニュルンベルクZOB」とあり、中央駅を示すHBFではない。これはドイツ語の中央バスターミナル(Zentraler Omnibus Bahnhof)の略称で、駅の近くにあるようだが、いわゆるロータリーの中ではなさそうだ。地図を調べてみたら、駅舎を背にして右方向へ100メートル歩いたビルの一角にターミナルがあった。知らなければ迷ってしまうかもしれない。
2階建てバスはちょっと窮屈
18時30分、バスはほぼ定刻にニュルンベルク中央駅バス乗り場に到着した。このバスはマンハイム始発で、途中ハイデルベルクを経由してニュルンベルクへとやってくる。これだけの長距離を走ってくれば多少の遅延はやむをえないと覚悟していたが、ダイヤに余裕を持たせているのか、意外にも定時到着だったのには感心した。バスはニュルンベルクで15分間停車し、18時45分に出発する。
バスはSetra(ゼトラ)社製の2階建て車。ほとんどの座席は2階に設けられており、1階にはトイレがある。天井の高さは日本製の2階建てバスとあまり変わらず、身長180センチメートルを超える筆者には、少々圧迫感が感じられた。大きなスーツケースは、バス後部の荷物室へ入れなければならないが、手荷物はそのまま持ち込める。
座席は、横2+2配列で定員72人。前後間隔はLCC(格安航空)と比較すれば広いが、列車の2等座席車よりは明らかに狭く、体の大きいドイツ人には窮屈なのではないだろうか。とはいえ、座ってみるとかけ心地は悪くない。難点は、荷物を置くスペースがなく、頭上の網棚も大きなものは置けないことだ。今回の乗車では、隣の座席に誰も座らなかったので手荷物を置くことができたが、混雑していれば荷物は足元のわずかなスペースに置くしかない。
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