失ったのに強い!熊本の被災農家は前向きだ なすびのおかげでギアチェンジができた
しかし、震災から3カ月目くらいで「負けるものか」と思っていたものがプツッと切れる瞬間があった。周りからの応援に応えたい一方で、心が折れそうにもなる。その心のギャップを埋めることが辛い時期もあったという。
そこで森下さんは、産官学連携のコーディネーターとしての経験を活かし、「仮設住宅に住む人たちが抱えるストレスをセンサーで測定して、管理できないだろうか。人間が仮設住宅を歩き回って見守るのは限界があるし、見守る側にも負担がかかる」と提案した。
気を使ってSOSを出すことができない被災者のストレスを数値化して管理することができれば、孤独死も避けることができるかもしれないということだ。また、ストレス軽減につながる食材、自然と睡眠を促すような食材を避難所で提供することも、長引く避難所生活の安心安全に役立つものがあるのではないか、と提案した。
地震でわかった農家が抱える「課題」
土の魔術師の発起人であり、一級建築士の黒川努さん(62)は、農家を支える体制作りの必要性を訴えた。「食は究極のインフラなので、何か起きた時にはみんなで支える仕組みが必要だと思う。普段、農家は“特区”のような狭い世界で仕事をしているので、ネットワークが限られてしまい、すぐにサポートを受けられない環境であることも多いんです」と言う。
今回の震災では、家や建物と違って、畑は被災した状況が見た目ではわかり辛かったため、農家の方たちはボランティアから支援を受けるまでにかなりの時間を要したそうだ。
今回、取材した多くの人たちから聞かれたのは、「全国、世界からの支援と応援が力になった」という声だ。これまでに人の優しさでこんなにも心が震えたことはなかったのではないだろうか。熊本は、震災前よりも心豊かに、そして強くなっているように感じた。
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