ニューヨークダウの「2万ドル割れ」はあるか 「過去20年の値動き」から今後の株価を予測

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では、今回、ボリンジャーバンドを逆張り的に使うのか、それとも順張りであるトレンド系で使うのかをどう判断し、実際の市場(NYダウ)への投資判断に生かしていけばいいのでしょうか?

その答えを探るためには、最初にキーワードとしてあげた長期の「歴史的な分析」を用いることが大事だと考えています。つまり、過去に大きな転換点となった事例やトレンドをもたらすような出来事・政策などを調べることが重要です。

レーガノミクスのような歴史的政策を実行できるか

筆者としては、NYダウを「逆張り」「順張り」のどちらの戦略で使うかは、トランプ政権が1980年代のレーガン政権による「構造改革」(いわゆるレーガノミクス)に匹敵するような「歴史的な政策」を実行できるかどうかにかかっている、と考えています。

レーガノミクスとは、米国の大統領ロナルド・レーガン(在任1981–1989)がとった規制緩和、減税などの経済政策です。当時の米国は、スタグフレーション(物価の上昇を伴う景気後退)が発生するなど、16年以上にわたる「株式の死」という時代が続いていました。

レーガン政権(共和党)の経済政策は、軍事費等の増大で関連需要を作り出すための政府支出を拡大させる一方、市場原理と民間活力を重視し、規制緩和、減税を行う構造改革を行い、強い米国を復活させる政策を行いました。それにより、米国の長期的な潜在成長率が高まったことで、米国の長期の株価上昇をもたらしたともいわれています。

現在のトランプ政権も、ある意味、レーガン政権と同様の政策を採ろうとしているように見えます。1兆ドル規模のインフラ投資計画や軍事費の拡大など関連需要を作り出すための政府支出を拡大しようとする一方、市場原理と民間活力を重視し、ドッド・フランク法などの金融規制の緩和策や減税などを行おうとし、強い米国を維持する政策を標榜しています。もし、米国の長期的な潜在成長率の引き上げがもたらされれば、ここからの長期的な株価上昇も期待できることでしょう。

そうした点で、今後、NYダウの長期の上昇トレンドが継続するかどうかはトランプ政権による政策実行力にかかっていると考えます。トランプ政権への期待から株価上昇の動きとなった、「理想買い」の局面を経て、足元では株価調整の動きとなっています。今後、本格的な政策の実行により、本当に「歴史的トレンドの変化」が起き、長期的な経済・企業業績の伸びにつながる「現実買い」局面にシフトできるかどうかに注目していきたいと思います。

今回は、テクニカル分析の1つ、ボリンジャーバンドを活用し、NYダウの予測や投資活用法をお伝えしました。実は、私が所属するNPO法人・日本テクニカルアナリスト協会では5月20日(土)に、この「ボリンジャーバンド」を考案したジョン・ボリンジャー氏を日本にお招きし、福岡で講演会を開催します(11月は東京や大阪でも開催予定)。著名なジョン・ボリンジャー氏はNYダウや日本株をどう予測するのか、ぜひ直接会って聞いてみたいところです。また講演後もボリンジャー氏と懇親の場を設ける予定となっておりますのでご興味のある方はぜひこちらからお申し込みのうえ、お越しください。

中村 貴司 東海東京調査センター 主任調査役 シニアストラテジスト

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なかむら たかし / Takashi Nakamura

日系、外資系証券、損保・証券系運用会社でアナリスト、ファンドマネージャー等を経て現職。ファンダメンタルズ分析にテクニカル分析や行動ファイナンス理論を組み合わせた投資戦略、市場分析を重視。国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。日経CNBC等での出演のほか。日経新聞、QUICKなどでもコメント・執筆。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター「ファンドマネジメント講座」などで講師を務める。

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