カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は? 運行会社5候補が発表され、受注競争は佳境に

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名乗りを上げた5つの連合体は次のとおりだ。企業別というよりは国別と考えたほうがわかりやすい。

【中国】中国鉄路(中国の鉄道運行事業者)、中国中鉄(鉄道インフラ建設会社)、北京鉄道局などから構成される企業連合体

【ドイツ】ドイツ鉄道(ドイツの鉄道運行事業者)、ACI(米国の鉄道運行サービス会社)、HDR(米国のエンジニアリング会社)などから構成される企業連合体

【イタリア】イタリア国鉄、ファーストグループ(米英系の鉄道運行会社)、マッキンゼー(米国のコンサルティング会社)などから構成される企業連合体

【スペイン】スペイン国鉄、グローバルビア(交通インフラを軸に展開する多国籍企業)、アディフ(スペインの鉄道インフラ建設会社)などから構成される企業連合

【英国】ステージコーチ(英国や米国で鉄道・バス事業を運営)とそのグループ会社で構成される企業連合体

英国を除く4カ国がいずれも国内で時速300キロメートル級の高速鉄道網を構築している。英国でも都市間高速鉄道計画(時速200キロメートル程度)の下、日立製作所製の高速車両の導入が進んでいる。

JR東日本は応募を見送り

一方で、高速鉄道の代名詞ともいえるTGVを擁するフランス国鉄や、全米の鉄道旅客輸送を担うアムトラックの名前は見られなかった。両者の経営資源は現在、北東回廊(ボストン―ワシントンDC間)に向けられている。

アムトラックは2040年を目標とする北東回廊の線路増強・速度向上を進めており、そこにTGVを製造するアルストム社の最新型高速車両が採用される予定だ。つまり、アムトラックやフランスはカリフォルニアではなく北東回廊を選んだという見方もできる。

JR東日本の新幹線E5系(撮影:今井康一)

では、日本企業の名前がリストになかったのはなぜか。5つの企業連合体はいずれも各国の鉄道運行事業者を主軸としている。日本でいえば、JR東日本(東日本旅客鉄道)だ。JR東日本は英国・ウエストミッドランズ線の営業権獲得に名乗りを上げており、カリフォルニア高速鉄道の運行に関心があるのではないかという観測は出ていた。

しかし、冨田哲郎社長は今年2月の東洋経済の取材に対し、「(海外の運行業務は)リスクもあるので慎重に見極める必要がある。やみくもに広げるという考えはなく、個別に判断していく」と語っている。今回、応募を見送った理由については、「総合的に勘案した結果」(広報部)という。

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