カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は? 運行会社5候補が発表され、受注競争は佳境に

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カリフォルニア高速鉄道において日本が以前から関心を寄せてきたのは運行事業ではなかった。車両、電気・機械システムの設計・製造、土木構造物の設計・製造・管理といったハード面の受注だ。

日本は川崎重工業を筆頭に三菱重工業、日本車輌製造、日立製作所、三菱商事、住友商事といったメーカーや商社が連合を形成し、これらの受注に関心があることを、2015年に州高速鉄道局に表明している。

この日本連合には技術アドバイザーという位置づけでJR東日本も参加している。同社が初期運行事業者への応募を見送った理由は、主要業務の1つである収支計画の策定を嫌い、技術アドバイスに特化したかったからかもしれない。

ただ、日本連合が受注を目指す領域にはライバルが目白押しだ。世界最大の車両メーカー・中国中車や同2位の独シーメンスをはじめ、信号メーカーやインフラ建設会社など、30を超える企業や企業連合体が参加を表明している。初期運行事業者はこれらの候補者の中から最もふさわしい車両メーカーや土木建設業者を選ぶことになる。はたして日本連合が受注を勝ち取る可能性はあるのか。

イタリアと英国がカギを握る?

英国では日立製の高速列車が活躍している(記者撮影)

5つの初期運行事業者候補のうち、中国、ドイツ、スペインは自国に高速鉄道車両メーカーがある。日常の運行を通じて自国製の高速列車への信頼は高い。もしこれら3つの候補者のいずれかが初期運行事業者に選ばれた場合は、自国メーカーに車両製造を発注するというのが自然な流れだ。

残るイタリア、英国はどうか。イタリア国鉄は日立が2015年に買収したイタリア車両メーカーの高速車両を採用している。また、英国でも日立は都市間高速鉄道計画を受注しており、英米系のファーストグループや英ステージコーチが英国で運営する路線に日立製の高速車両の導入が決まっている。

つまりイタリアと英国に関しては、日立との結び付きがある。初期運行事業者の選定次第では、日本連合が車両受注を勝ち取る可能性はまだ残っている。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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