東武の新型車両70000系は何が画期的なのか 6月から東武スカイツリーラインにお目見え
鉄道会社同士が相互乗り入れを行なう場合、車両のサイズや性能、運転に関する機器の取り扱いなどは統一するのが一般的。日比谷線を走る従来の車両も、寸法やドアの位置などはメトロと東武で共通化している。だが、メカに関しては異なる部分も多かった。たとえばモーター付き車両の数は、メトロの従来車両03系が8両中4両なのに対し、東武20000系は6両。パンタグラフの数も制御システムも違う。
それに対し、今回登場した新型車両は、共通点が多い。
車体の寸法やドア位置、各車両に設置した車いすやベビーカー利用者向けの「フリースペース」の位置など乗客に関わる部分は共通だ。さらに、カーブでの走行をスムーズにし摩擦音を抑えた「操舵台車」の採用や制御システム、運転台に並ぶ機器類のレイアウトに至るまで、主要な部分はほとんど同じだ。70000系の製造メーカーは、東武の歴代車両で初となる近畿車輛だが、これもメトロ13000系と合わせた結果だ。
川上課長によると、今回の新車導入計画は2012年ごろに始まった。きっかけは、東京メトロによる日比谷線へのホームドア設置検討だ。
共通化のメリットは?
これまで同線では、1両あたりの長さが18メートルの3ドア車と5ドア車を使用してきたが、異なるドア数の車両が混在していることからそのままではホームドアの設置が難しかった。一方、東武では日比谷線直通用以外の通勤電車は長さ20メートルの4ドア車に統一されており、こちらでは18メートル車と20メートル車の混在が生じていた。
そこで、これらの混在を解消するため、仕様を共通化した20メートル・4ドア車両を開発し、同じタイミングで従来車両を置き換えることにしたわけだ。
20メートル・4ドア車への統一によって、日比谷線では2020年度からホームドアの整備を開始する予定。東武スカイツリーラインも2020年度末までに押上・北千住・新越谷・越谷の4駅にホームドアを設置するほか、将来的には北千住-北越谷間の全駅に整備する予定だ。
ドア位置の統一によってホームドアの設置が容易になるのはもちろんだが、そのほかの部分でも仕様共通化によるメリットは大きい。その一つは開発・製造コストの低下だ。コストは車種によっても異なるため、単純にほかの車両と比較はできないというが、「一緒にやった方が部品類のロット数も増えるので、少なくとも単独で開発するよりは間違いなくコストは下がっているはず」と川上課長はいう。
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