6度の延期を経て開業、台湾「空港鉄道」の実力 新幹線に次ぐ日本企業連合の大プロジェクト
桃園MRTは2005年、丸紅が川崎重工業、日立製作所と企業連合を組んで入札に参加し、シーメンス(独)、アルストム(仏)&CTCI(台)連合の2グループを押さえて受注した。
丸紅が鉄道システム一式と車両基地の建設、川崎重工業は123両の車両製造、日立製作所は変電・給電システムを担当し、線路幅は1435ミリメートルの標準軌、電化方式は直流750Vの第3軌条方式を採用。契約金額は254億9000万台湾ドル(約910億円)、工期90カ月の予定で2006年6月に着工し、当初は2013年9月開業を予定していた。
だが、受注業者間の契約トラブルや設備の不具合で工事が遅れ、開業を2015年末に延期。その後も電気系統など各種トラブルに見舞われ、このプロジェクトを所轄する台湾の交通部高速鉄路工務局(日本の国土交通省に相当)より賠償金を請求される事態となるなど、混迷を続けた。
建設費用は結果的に1138億5000万台湾ドル(約4207億円)にもなり、2015年から安全試験による試運転も開始されたが、走行速度が基準を満たさないなど次々にトラブルが発生し、開業予定日を6度も延期した経緯がある。
今年に入り、開業予定日が3月2日に決定。2月2日から「プレ開業」として団体や一般向けの無料試乗会を1カ月間実施した。同期間中には約140万人が乗車したといい、蔡英文総統も視察に訪れた。
列車は普通と快速の2タイプ
開業日の式典終了後、実際に台北駅から乗車してみた。
桃園MRTの台北駅は、台湾鉄路(在来線)や高速鉄道の台北駅とはやや離れた場所に位置する。これらの駅とは地下通路で結ばれているが、乗り継ぎの際は10~15分程度の時間の余裕をみる必要がありそうだ。
駅には航空会社のチェックインカウンターも設けられている。当面はチャイナエアラインとエバー航空の2社のみではあるものの、搭乗予定時刻の3時間前までであれば駅で搭乗手続きが可能。機内預け入れ手荷物もここで預けられるので、身軽に乗車できそうだ。ホームは地下3階で、ホームドアも設置されている。
列車は、各駅停車で終点の環北まで全線を走る普通車(Commuter)と、台北―桃園空港第2ターミナル間を結ぶ快速タイプの直達車(Express)の2タイプがあるが、運賃は同一で台北―桃園空港間は160台湾ドル(約570円)。空港連絡バスより少し高い。6時00分から23時00分までの間、どちらも15分間隔で運転されるという。
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