岐路に立つ「EUの存続」は仏大統領選次第だ

ポピュリストの力はまだまだ侮れない

EUの改革と繁栄を望む人々がポピュリストに対抗するには、従来の認識を改め、有権者がエスタブリッシュメントに反発している理由を考える必要がある。

10年前には1割に過ぎなかったフランスの国民戦線の支持率が現在3割近くまで上昇している真因は経済にある。ドナルド・トランプ氏に投票した米国人のように、欧州の人々の多くは数年にわたる景気停滞や生活水準の低下を経て、将来への不安感を強めている。

こうした有権者は、政治家やEUの官僚がユーロ圏に危機をもたらし、不当に銀行を救済する一方でそれ以外の人々に節約を強いていることに強い怒りを抱いている。また、EUの指導層が難民問題解決に向けた指導力を発揮できなかったことにも、有権者は不信感を募らせた。こうした状況は、移民とテロとを関連づけるポピュリストを利しており、反EU機運を高める結果となっている。

必要なのは経済政策の転換

単にポピュリストを非難しても問題は解決しない。必要なのは、欧州の成長率と賃金を引き上げることができる経済政策の転換だ。特定の利益集団ではなく全体のために働く新たな政治家が、ダイナミックで公平で安全な社会づくりのために、根本的な改革を提案することも不可欠だ。あらゆる背景を持つ人々を結びつけることができる、開放的で寛容で多様性のあるビジョンも打ち出されるべきだ。

オランダ総選挙では、弱冠30歳の党首に率いられた左派の緑の党や中道左派の民主66など、親EUで移民に寛容な政党が、前回選挙から大躍進した。フランス大統領選では、右派と左派の橋渡しを提唱する親EU派の独立候補で39歳のエマニュエル・マクロン氏が、ルペン氏をリードしている。

マクロン氏が勝利すれば、欧州のほかの地域にも変革が波及するだろう。だが、同氏が敗北した場合、ポピュリストは盛り返し、かつてないほどの勢いを得るだろう。

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