東芝、「怒号と疲労」の株主総会でみえたこと 株主は「大企業病は変わっていない」と指摘

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2017年3月末の株主資本の見通しは、1500億円のマイナスから6200億円のマイナスとなる。東芝は「経営危機」という表現が生ぬるく感じる状況に陥った。

株主総会の冒頭、ステージ上に並んだ40人の役員が頭を下げて謝罪したが、それで株主の怒りが収まるわけではない。当初、綱川社長が質問を1人1問2分までとしたことも株主の神経を逆なでしたようで、「1問2分にするのは納得できない」という議事進行に対する動議や「社長解任」という動議が出された。

社外取締役の小林氏の責任を問う声も

「去年の株主総会では原発とメモリでやっていく、と言っていた。それが半年でなぜ7000億円の赤字が出てくるのか」

「(原子力事業の責任者だった)志賀さん(重範執行役、2月15日付で取締役代表執行役会長を退任)はなぜ(株主総会に)出てこないのか。志賀、(歴代社長の)室町(正志)、田中(久雄)、佐々木(則夫)、西田(厚聰)を出して、謝罪させることをなぜやらないのか」

「経営陣の覚悟が見えない」「役員の3分の1は辞任すべきだ」と次々と辛らつな質問や意見が飛んだ。

社外取締役で、指名委員会委員長である小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)の任命責任を問う声もあった。「長年原子力事業に携わってきた志賀氏をなぜ会長に任命したのか」という株主の質問に対し、小林氏は次のように述べた。

「東電事故を契機に、原子力事業は日立、三菱重工、東芝の3社で共同持ち株会社で運営していかないといけないと考えている。そのためには、経産省や他社とのネゴ(交渉)をやるには志賀さんの知見がいるだろうと考えた。その結果、こういう形になったのは極めて遺憾だ」

そして株主とのすれ違いを最も感じたのは、2015年末にWHが行った原発建設会社の買収に対する問答だ。結果的に東芝は、この会社買収によって巨額損失の計上を余儀なくされた。

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