「社長が何でも抱え込む」会社は成長できない できるリーダーは社員を信じて仕事を任せる

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しかし、会社の成長に合わせて、社長の仕事も変わっていかなければなりません。ときどき、どうしても人に仕事を任せることができず、何でも自分で抱え込んでしまう社長がいます。「部下に頼むより、自分がやったほうが早い」と考えてしまう社長に多く見られるケースです。それは「社長が部下の仕事を取り上げてしまっている」状態です。

特に、技術やセンスによって提供する商品やサービスに差が出やすい業種の場合、ついお客の期待に応えるために部下に任せきれず、社長が現場に出てしまいがちです。自分の腕やセンスに自信をもっている社長の場合には、なおさらです。

社長はマネジメントに専念

私は、3年ほど前にいま住んでいる家を買いました。横浜市にある中古の戸建てです。家探しをしていたそのときのことが、いまも忘れられません。

私は、引っ越し先を探すために、知り合いやクライアントの不動産会社数社に電話をかけ、それぞれの会社の社長に、希望のエリア、間取り、予算などの条件を伝えました。ほとんどの社長が「わかりました。希望の条件に合う物件を探してご案内します」と言ってくれたのですが、N社のM社長だけは「そのエリアは新横浜店なので、新横浜店の担当者から連絡させます」と言ったのです。

30代前半のM社長が率いるN社は勢いはありましたが、店舗は横浜と新横浜の2店舗のみで、社員が十数人といった規模です。私は正直「なんだよ、M社長を信頼して頼んだのに、M社長が担当してくれるのではないのか」とがっかりしました。

ところが、すぐに私のところに連絡してくれた担当者Uさんは、レスポンス(返事)、マナー、商品知識、すべてがそろったスーパー営業マンでした。

すぐに希望の条件を満たす物件を紹介してくれますし、メールで質問をするとすぐに的確な答えが返ってきます。私はすっかりUさんのファンになってしまい、気付くとUさんに案内してもらった物件を購入していました。

この会社の営業マンたちの多くはM社長より年上ですが、みんながM社長を慕い、尊敬しているのが伝わってきました。後日、私はM社長に「最初は社長が動いてくれないのかと思いましたが、紹介していただいた営業マンがすばらしいのでビックリしました」と話すと、M社長は「私はもう不動産のことはあまりわからなくなってしまったので、マネジメントに専念しています。営業は彼らのほうがよっぽどわかっているので、全部任せています」と答えたのです。

私はこんな社員を育てているN社はすごいと心底感心しましたし、この会社はこれからもっと伸びると確信しました。それから3年、M社長とはいまも親しくしていますが、私の予想どおり、いえ、予想以上にN社は成長を遂げています。上場を果たす日も近いのかもしれません。

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