「社長が何でも抱え込む」会社は成長できない できるリーダーは社員を信じて仕事を任せる

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このように、目標をトップダウンで定めるべきなのか、ボトムアップで定めるべきなのかといった議論は、さまざまな場所でよく行われますが、H社長は、「ボトムアップでトップダウンの数字をつくるべきだ」と言います。

つまり、社員は社長が一方的に決めた目標数字では納得せず、本気にならないので、まずは社員たちに目標数字を考えさせます。それが社長の考える数字より低い場合には、「本気を出せばもっとできるのではないか」「本当はもっとやりたいと考えているのではないか」「もう一度考えてきてくれないか」と言いながら、何度も社員と徹底的に話し合うのです。

そこまでした結果、社員が「やる」と約束する数字が、社長のやりたい数字と一致したときに来期の目標が出来上がるというわけです。

ボトムアップでトップダウンの目標数字をつくるためには、何度も社員と話し合うことが必要ですから、今期が終わりそうになって慌てて来期の目標数字を考えても、間に合いません。H社長は期が締まる3カ月以上前から、来期の目標数字を社員と話し合っています。

社員の目標を統一することも大事だ

そして違う目標をもっている人と、同じチームで働くことはできません。ですから、社長は目標を公言することにより、社員の目標を統一することも必要です。

たとえば、あなたが日本代表のサッカー選手だとして、本気でワールドカップで優勝したいと考え、血のにじむようなトレーニングを重ねているとします。ところがチームメートに「自分は日本代表に選ばれただけで満足だ」と考えている人がいたら、どう考えますか。おそらく「こんなやつはチームから外してくれ」と思うのではないでしょうか。

会社でも同じことです。社員の中に目標が低い人が交じっていると、目標が高い社員のやる気を削いでしまいます。全社員に高い目標を与えて、共有させる役目を果たすことができるのはただ1人、社長だけなのです。

伸びてる会社の社長は、社長にしかできない仕事をしています。決して、社員と同じ仕事をしていません。

世の中に、最初から大きい会社などありません。会社が小さいうちは、社長といえども多くの仕事を掛け持ちしなければなりません。

何のビジネスにしろ、注文を取るために多くの人と会い、注文がとれたら会社に戻って部下と一緒に作業をします。月末には集金に回らなければなりません。新しい社員を採用するのも社長ですし、資金繰りに目を配るのも社長です。

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