あの穐田氏が会長に、オウチーノの勝算は? 元クックパッドの敏腕経営者はどう再建する
「中古流通をほかの多くの先進国並みに定着させたいという思いから、2008年に中古住宅のプラットホームサイトを立ち上げた」と井端前社長が語るように、オウチーノは以前から中古不動産市場に注力してきた。他社に水をあけられている新築不動産や賃貸の分野と比べれば、中古不動産市場での挽回の可能性はありそうだ。
技術面については、元クックパッドCTO(最高技術責任者)でオウチーノの技術顧問に就任した舘野祐一氏の指揮の下、積極的に人材採用を進めるなど、すでに対応を急ピッチで進めている。
また、穐田氏がクックパッドで推進してきた多角化路線は、オウチーノでも継続されそうだ。株主総会で変更された定款には、キャラクター商品の企画・開発や、金融業、投資業、そして旅行業法に基づく旅行業、旅行代理店業といった事業目的が追加された。
今度こそ、志を貫徹できるのか?
穐田氏はオウチーノの会長職と並行して、経営者、投資家として複数の企業にかかわっている。クックパッドなどから株を買い取り58%保有の筆頭株主となったみんなのウエディングでも会長に就任している。また、株主として9.8%の株を保有する、発達障害のある児童向け教育やプログラミング教育などを手掛けるLITALCO(りたりこ)や、クラウドソーシングやポイント付与メディアなどを運営するリアルワールドの現任の社外取締役でもある。
投資家としても、神奈川県や東京・多摩地区で地域情報誌を発行するタウンニュース社や、岐阜地盤の広告代理店である中広、卒業記念アルバム大手のマツモトの大株主に名を連ねている。このような穐田氏が関係する会社と協業する可能性はあるのか。オウチーノは「現時点で新経営体制の経営方針について発表できる事項はなく、しかるべきタイミングであらためて開示する」(同社広報)としている。
前職のクックパッドでは創業者とのお家騒動に巻き込まれ、志を遂げることができなかった穐田氏。筆頭株主であり、取締役会長として経営を担うオウチーノでは「SUUMO」や「HOME’S」の牙城を崩すことができるのか。あるいは、不動産情報サイトだけの勝負を離れ、多角化による「住のプラットフォーム」で成功を目指すのか。穐田氏率いるオウチーノの挑戦が始まった。
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