あの穐田氏が会長に、オウチーノの勝算は? 元クックパッドの敏腕経営者はどう再建する

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しかし、オウチーノを取り巻く環境はかなり厳しい状況だ。

収益柱である不動産情報サイトの掲載物件数は約240万件程度。ネクスト(4月からライフルに社名変更)が運営する「HOME’S」は賃貸・不動産売買の掲載物件が約815万件、リクルート住まいカンパニーが展開する「SUUMO」も同600万件と圧倒的な2強に及ばないどころか、「アットホーム」などの競合各社と比べても知名度で劣るのが実情だ。

「オウチーノは穐田氏の出資が決まる前、競合企業にも資本提携の提案を持ちかけていたようだ。今後、穐田氏がオウチーノをどのように立て直すのか関心はあるが、われわれにとって脅威ではない」と、大手不動産情報サイト運営会社の関係者は言う。

不利な状況からどう挽回するのか

業績も水面下から浮上できずにいる。オウチーノは2014年度、2015年と連続で最終赤字を計上。前2016年度も、売上高11億円(前期比27.2%減)、営業赤字1.2億円(前期は800万円の黒字)、最終赤字は3.8億円(前期は2700万円の赤字)となり、赤字幅が拡大した。モンゴルの投資物件に対し、貸倒引当金を計上したことも赤字拡大の要因となった。

井端前社長は「技術者が不足していてプラットフォームに脆弱な面があり、ユーザーの問い合わせ率を高めるような作り込みもできなかった。外注比率が高くコストの多くを占めているため、収益性を向上させるのが難しかった」と業績不振の要因を振り返る。

では、このような不利な状況から、穐田体制のオウチーノはどう挽回していくのか。

まずは、収益柱である不動産情報サイトにおいて、中古不動産に活路を模索するとみられる。欧米と比較して新築中心の不動産市場が長らく続いてきた日本だが、人口減など環境変化への対応や空き家増加の抑制のため、国は中古住宅の流通など、住宅のストックを活用する市場への転換を目指している。

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