「子連れ電車移動」日本と欧州はこんなに違う

騒ぐ子供は乗れない「サイレントカー」もある

オーストリア連邦鉄道の多目的スペース表示。車椅子以外に自転車とベビーカーを載せても良いことが分かる(筆者撮影)

例えばそのベビーカー。いつでもどこでも我が物顔で列車に載せて良いわけではない。混雑のピーク時間帯は折りたたんで載せるよう案内されるし、載せる場所も多目的スペース、いわゆる車椅子スペースに極力載せるように指示される。また、その多目的スペースはあくまで車椅子が優先で、もし車椅子利用者が乗車してきたら譲って欲しいと車内に記載されている。より弱い立場にいる人が優先というわけで、理にかなっている。

高速列車など、都市間を結ぶ長距離列車では、車内の過ごし方によって客車を分けている列車も多い。携帯電話の通話はもちろん、乗客同士の会話も禁止されている「サイレントカー(スペース)」も長距離列車など一部の列車に設けられている。当然ながら、小さい子供連れで、子供が声を上げるのを止められない乗客は、サイレントカーとは別の車両を利用しなければならない。

以前、息子がまだ幼かった頃、確認せずに空いている席へ座ってしゃべっていたら、ここは会話禁止だと近くの乗客に注意されてしまったことがある。サイレントカーの場合、ステッカーなどで明示されているので、乗車の際は注意しなければならない。

ファミリー向けスペースが充実!

スイス連邦鉄道の都市間特急ICに設けられた子供用遊戯設備。観光列車ではなく、通常の都市間特急に設定されているところが特徴だ(筆者撮影)

その逆で、ファミリー向けスペースを備えた列車もある。日本でも、観光地へ向かう列車の一部には子供用のスペースが設けられている列車があるが、ヨーロッパではフィンランドやスイスのインターシティといった一般的な都市間特急列車にも、子供たちが騒いでも大丈夫な専用区画が設けられている列車がある。オーストリアの特急レイルジェットには、子供たちがアニメを見て楽しめるミニシアターまで設けられている。

このように、ヨーロッパでは乗客たちの多様な声を基に、それぞれに適した座席を用意しているのが特徴だ。日本でも、こうした目的別の座席を設ける取り組みは一部の列車で行なわれているが、まだ一般的とは言い難い。禁煙・喫煙で車両を分けることは一般的に行なわれてきたが、ほとんどの列車が禁煙となった今、次は「音」による車両の区分けが検討されても良いのではないだろうか。

音に関しては、単純に分けるだけであれば、喫煙車のように灰皿を用意するといった設備的な投資は必要なく、車両ごとの区分けはステッカーによる表示程度で済み、コストもさほどかからないだろう。日本の混雑状況を考えれば、一般的な列車に遊具を備えた子供専用スペースを設けることはなかなか難しいことなので、せめて子供たちがしゃべっていても許される区画があっても良いと思う。

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