トランプ政権下の国家安全保障会議(NSC)は、米国の対北朝鮮政策を見直し、北朝鮮への厳格な制裁による「ソフトな」政権交代から核施設への先制攻撃に至るまで、いくつもの政策オプションを検討していると伝えられている。
トランプ政権は現在、一貫した政策と信頼できる政策立案の両方を欠いている。そのため北朝鮮と一対一での協議ができていない。フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が突然辞任しただけでなく、国防総省でアジア太平洋問題を監督できる担当者も不足しており、トランプ政権は機能不全に陥ったままだ。
米政府はこうした政治的空白に陥っているにもかかわらず、最近の北朝鮮のミサイル実験を大きな脅威と見なしている。米議会や軍関係者の多くは、北朝鮮を再びテロ支援国家に指定し、特殊部隊を投入して軍事作戦を行うといった厳しい処置を求めている。
しかし、そうした行動は事態を悪化させるだけだろう。
米韓の諜報機関は、北朝鮮が10〜16個の核兵器と1000発以上の弾道ミサイルを保有していると見ている。実際にそうなら、軍事面で北朝鮮の脅威を取り除こうとすると、米国や同盟国は無傷では済むまい。韓国も朴槿恵(パククネ)大統領の辞任で政治的空白が生じており、明確な態度を取れないままだ。
「譲り合い」の余地はある
一方で中国の朝鮮半島での役割は複雑化している。北朝鮮のミサイル実験に反対の意を表し、北朝鮮からの石炭の輸入も国連安全保障理事会の決議を受け中断した。これについて北朝鮮の国営メディアは、中国が「米国に踊らされている」と批判した。
さらに中国は、在韓米軍のTHAAD配備を重大な戦略的脅威と位置づけており、軍事情報を共有する日米韓の同盟が東アジア版ミニNATO(北大西洋条約機構)のような存在になるのではと危惧している。
中国の王毅外相は最近、米国と北朝鮮について、「二つの列車が互いに向かって加速しながら走っており、どちらも譲る意志がない」と指摘した。
中国が提案しているのは以下のような取り組みだ。まず北朝鮮が核・ミサイル実験を中止し、米韓は大規模な合同軍事演習を中止する。そのうえで関係国すべてが交渉の席に戻り、朝鮮半島の非核化と平和協定の締結を目指す。
北東アジア全体の戦略への相互不信は、米中関係をさらに悪化させるだけだ。朝鮮半島問題では、冷静になった者こそが勝利するのである。
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