企業の採用担当者が語る「面接は機能不全」 10人いたら2人トンズラ
──ほかに、困っていることはありますか?
人材:突然連絡が取れなくなったり不義理をされることです。
IT:突然、ノロウイルスやインフルエンザが世間の罹患(りかん)率からは考えられないほどはやりますね。親類もやたらと死ぬ。電車も事故で遅れまくり(笑)。
外資:特に実害が出ると痛い。うちは地方からインターンシップに来る学生のために交通費と宿泊費を出しますが、週をまたぐときは要注意。土日をたっぷり堪能して、成果を発表する月曜の朝にトンズラする学生がいますから。外資専門の就活サイトに、体験談として「あそこは交通費がいくら出る」とか書かれちゃうんで、やろうと思えば計画的にできちゃう。
建設:面接のために地方からバスで10人連れてきたはずなのに、途中でおなかが痛くなったと消えちゃって、帰りは8人になってる、なんてことは普通にあります。それも、もう想定の範囲内ですね。
──なぜこれほど嘘が横行するのでしょうか?
建設:構造的な問題なのかな。就活サイトや大学の就職課が「経験値はこう話すべき」みたいなのをパターン化していて、「どれでいく?」みたいになっちゃって、本当はボーッと暮らしている学生もいるはずだから、盛らざるを得なくなってる。
金融:「何をやってたの?」と聞くから何かやらないとまずくなるし、「何がしたい?」と聞くから無理にやりたいことをつくる。採用を始めて気づいたんですけど、本当はやりたいことがないから就活してるんですよ。あればすでにやってる。そういう意味で面接自体が機能しなくなってると思うので、極力やりません。
自分では書いてない
──どんな選考をしているのですか?
金融:最初に論文を出してもらいます。その時点で「もう無理」と出してこない人が大半。論文がOKであれば、難しい課題を出してその場で考えてもらう、チームで何かを作ってもらうなどして、最後に面接。そこで初めてどこの大学で何をやってきたか知ります。もちろんコピペもありますよ。すごく論文が面白いのでいろいろ話を聞いていくと「あれ、自分では書いてないかなぁ」というケース(笑)。
コンサル:当社は面接重視です。書類だけじゃ判断できないし、何より面接で、一緒に働きたいか、この会社に入ることが幸せか、互いにすり合わせをしたいので。簡単に辞められると会社としては相当な損失になる。面接でしっかり見極めたい。
IT:うちも面接は普通にやって「第1志望か」とか「やりたいことは」と聞きますよ。聞いたってしょうがないのはわかってるんですよ。履歴書を見て、「出身小学校の自慢をしてみて」なんて聞いたほうがよっぽど人となりがわかる。でも、学生は控室で「第1志望とかやりたいことを聞かれなかったからもうダメだ」と落ち込んでいたりする。だから、面倒くさいけど聞いとくか、と(笑)。