米FRB議長後任人事、サマーズ氏へ強い逆風 バーナンキ議長の後任指名は、今秋決定?
バーナンキ議長は、2期目の任期が切れる2014年1月31日をもって退任するというのが大方の予想だ。
サマーズ氏を批判する人の中には、オバマ大統領が女性ではなく、女性差別主義者と批判される男性を指名する可能性は低いとみる向きもある。サマーズ氏はハーバード大学学長時代に女性差別的な発言で謝罪に追い込まれたことがある。
ポトマック・リサーチ・グループのチーフ・ポリティカル・ストラテジスト、グレッグ・バリエール氏は顧客向けノートの中で「バーナンキ議長の後任候補として聡明な女性がおり、彼女はFRB内部で大変尊敬されている」として、オバマ大統領がイエレン氏を指名するとの見方を示した。
グラス・スティーガル法廃止を後押し
サマーズ氏はクリントン政権下での財務長官時代、グラス・スティーガル法廃止を後押し。商業銀行がリスクの高い金融商品を手掛けるようになった。
オバマ大統領の2度の選挙戦を支援したリベラルグループ「Moveon.org」は、サマーズ氏が深刻な不況に至る下地をつくったとして、「サマーズをFRBトップにするな」と題する請願書への署名を集めている。
上院銀行委員会のジェフ・マークリー委員(民主党、オレゴン州選出)はロイターに対し、サマーズ氏がFRB議長に指名されれば「当惑する」だろうと指摘。「規制や規制撤廃をめぐる彼の哲学に関して聴取する必要がある」と述べた。
FRBの政策形成にマイナスか
オバマ政権に近い関係筋は、大統領がサマーズ氏の指名を非常に前向きに検討していることが信じられる理由があると指摘。同氏の指名に傾いているとすら感じられるという。
この関係筋は、サマーズ氏のウォール街との関係や危機管理の経験を大統領は重要だとみなしているのではないか、と指摘する。
一方で、FRBの内部事情に詳しい複数の関係筋によると、職員や一部の連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは、時折みられるサマーズ氏の他人の気持ちを考慮しない態度が、コンセンサスを重視するFRBの政策形成にマイナスになるのではないかと懸念している。
これらの関係筋は、敏感な問題だとして匿名を希望した。
イエレン氏はバーナンキ議長の後任として、金融市場参加者を対象としたメディア調査での人気は高いが、アナリストらは、サマーズ氏はオバマ大統領との関係の近さが有利だと指摘する。強力な支持者も強みだ。
前出のバリエール氏は「彼(サマーズ氏)の支持者らは支援活動を積極化しており、彼が(FRB議長のポストに)興味があるのは明白だ。そしてそれが命取りになる。もしもこの町で大きなポストがほしいなら、控え目にならなければならない」と語る。
指名プロセスに詳しい関係筋によると、オバマ大統領はまだFRB議長の後任を決めておらず、指名発表は今秋までは予定されていないという。
( 翻訳 川上健一;編集 内田慎一)
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