DMM「斬新すぎる新オフィス」に隠された思惑 「外からの期待」で社員の能力を引き上げる
今回、DMMの新オフィスのデザイン・設計に加わったのは、プログラマー、エンジニア、建築家、デザイナーなど幅広いジャンルのスペシャリストをそろえ、「ウルトラテクノロジスト集団」を標榜するチームラボだ。両社は昨夏、フジテレビが開催した「お台場みんなの夢大陸2016」(7月16日~8月31日)内で展示された体感型巨大デジタルアート「DMM.プラネッツ Art by team Lab」でもタッグを組んでいる(参考:あのDMMがチームラボに全力投資した理由)。
冒頭にも登場した来客エリアは、まさにチームラボの得意とするデジタルアートを満載した世界観だ。24階エレベーターホールからすぐのエントランスには壁一面、透過型のスクリーンにデジタルアートの滝が広がる。滝に人が近づくとそれを感知し、避けるように流れを変える細かな工夫も面白い。ほかにも、動画作品を静止画化して張り付けた巨大なアートテーブルを会議室内に設置するなど、随所にこだわりが見える。
エントランスから会議室エリアとは逆の方向に進むと、簡単な打ち合わせなどに使用できる広々とした空間がある。こちらはデジタルアートのイメージとは打って変わり、木目の床にあらゆる大きさ・デザインの家具や照明が配された、落ち着いた雰囲気だ。
机やいすの代わりに、大きなクッションが床にごろごろと転がされているスペースもある。「普段と座り方や目線を変えることで、より気軽に、自由にアイデア出しや話し合いをできるようになればという狙い」(野本氏)。
わざと“回り道”させる導線に
執務エリアにも型破りな試みが施されている。27階には、フロア全体に波打つような形で、全長1キロメートルにわたるデスクが配置されているのだ。フロア西側が夜の海をイメージした青系、東側が朝の海をイメージしたピンク系のアートテーブルになっており、見た目にも華やかだ。
新オフィスの設計を手掛けた、一級建築士の河田将吾・チームラボアーキテクツ社長は、この風変わりなデスクを採用した意図についてこう説明する。
「横の人と距離が近くても、視線がバラバラに散るから、お互いあまり気にせずに作業できる。また、デスクに沿う形で、社員が歩く導線を多少“回り道”になるようにしている。普通のオフィスではトイレと席の往復になりがちだが、歩く過程でいろいろな人と顔を合わせることで、コミュニケーションが促進される」
一般の社員同士が接触しやすくなっているのはもちろん、多くの社員が役員や管理職の席の前を日常的に歩くよう通路が組まれているのもミソだ。
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