中国の「バッシング」に頭を抱える韓国政府 サイバー攻撃や反韓デモ、対抗策見つからず
2010年に尖閣諸島付近で発生した中国漁船衝突事件を受け、中国がレアアース(希土類)の輸出を規制したことを巡り、WTOは中国敗訴の判断を下したことがある。
しかしWTOが今回の中国による巧妙な報復措置を罰するのは、はるかに難しいだろうと現旧韓国政府当局者はロイターに語った。
限られた武器
中国における韓国企業の状況は、韓国政府が昨年7月に米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に合意してから悪化している。事態は先週、THAADの配備先としてロッテグループが所有する土地を提供すると判明してから深刻化した。
いかなる対抗手段も、対中輸出の3分の1以上を占める最大の輸出品である半導体やディスプレーに影響を及ぼしかねない。
だが、そのような輸出を制限することによって、最も利益をもたらすセクターの1つをあえてリスクにさらすようないかなる法的手段も、韓国にとって現実的ではないと、NH投資証券のアナリスト、Piao Ren-Jin氏は指摘する。
「韓国政府は懸念を表明し続け、WTOに提訴することはできるが、国家レベルではそこまでだろう」と同氏は語る。最悪のシナリオでは、韓国経済の規模を0.25%低下させる可能性があるという。
代わりに、政府はマーケットの多様化といった対抗手段を講じることを企業にアドバイスしている。
そうした措置を検討している一企業に、Le Belle Cosmeticsがある。中国人観光客が減少したせいで、ソウル中心部にある免税店の売り上げは「急停止」していると、同社のキャシー・リム最高経営責任者(CEO)は話す。
「中国ばかりを見ていられない」と同CEOは述べ、市場拡大の選択肢としてベトナムのような新興市場を強調した。ただその一方で、「同時に、中国に代わるような市場はない」とも明かした。