森永乳業が「シールド乳酸菌」で稼げる理由 導入企業は100社超、ポテサラやとん汁にも

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同年3月、アサイーなどのスーパーフードを手掛けるフルッタフルッタは、主力のアサイー飲料でシールド乳酸菌を加えた新商品を発売した。フルッタフルッタの担当者が森永乳業の営業部員に提案したことがきっかけだった。「アサイーに乳酸菌を加えることは、森永乳業も想定していなかったようだ」(フルッタフルッタ)。シールド乳酸菌が意外な商品にまで拡大していることを物語る。

9月にはロック・フィールドが展開するジュースバーの「ベジテリア」も期間限定で野菜ジュースにシールド乳酸菌を加えた。また同社が展開する総菜の「RF1」も、11月にポテトサラダをシールド乳酸菌入りのものにリニューアルした。「サラダがもともと持つ健康感を高めたかった」(ロック・フィールド)という。ベジテリアのシールド乳酸菌入りジュースは期間限定だったが、今年に入ってから定番商品に変わっている。

導入企業は100社超え

牛丼の吉野家も、とん汁やけんちん汁にシールド乳酸菌を加えてリニューアルした(写真:吉野家)

今年1月には牛丼チェーンの吉野家も「とん汁」と「けんちん汁」にシールド乳酸菌を加えてリニューアルした。加工食品だけでなく、中食や外食にも広がったことで、「“シールド乳酸菌”で検索する人が増えて、自社製品へのアクセスが増えた」(森永製菓・菓子食品マーケティング部の老川茜氏)など、相乗効果まで出始めた。

森永乳業のシールド乳酸菌を導入した企業は100社を超える。強い競争力ゆえに、シールド乳酸菌を含むB to B事業の営業利益率は今2017年3月期の通期計画で6.0%と、連結全体の3.4%を大きく上回る。だが、売上高は910億円と、全体の15%程度だ。今後は海外展開も含め、一層の販路拡大が必要となる。人口減少に伴い国内食品市場の量的な拡大が望みづらい中、森永乳業の未来は好採算のシールド乳酸菌に懸かっている。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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