中国が狙い撃ち、「韓国企業たたき」の内幕 THAAD配備への報復行動、いずれ米国も

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「現在、韓国企業に起こっていることは、米国企業に今後1年間に起きるであろう問題についての、非常に有効な作戦計画書となる」。リスク管理コンサルタント会社コントロールリスクスで中国と北アジア担当の分析ディレクターを務めるアンドリュー・ギルホーム氏はそう語る。

「トランプ政権下では、大規模でドラマチックな貿易戦争の発生によって、何もかもが悪化するというシナリオよりも、企業に対する規制面での嫌がらせという形で問題が表面化する可能性の方が高いのではないか。中国にとってはそれほど強烈ではない対抗手段の1つだ」

韓国の株式市場は3日急落し、化粧品大手のアモーレパシフィック<090430.KS>、現代自動車、格安航空のチェジュ航空<089590.KS>、大韓航空<003490.KS>、アシアナ航空<020560.KS>が打撃を受けた。

政治的圧力

韓国との取引を縮小・中止するという政治的圧力を感じているとの声が一部の中国企業から聞こえてくる。韓国メディア報道によれば、中国当局は北京の旅行会社に、韓国向けのツアーの販売を中止するよう命じたという。

中青旅(CYTS)<600138.SS>など、ロイターが取材した中国の旅行会社大手3社は、韓国向けツアーの提供を続けていると話している。だが途牛<TOUR.O>の顧客サービス担当者によれば、THAADをめぐる対立が原因で、同社は韓国向けツアーの提供をすでに中止しているという。途牛にコメントを求めたが回答は得られなかった。

またロッテは、外交面での緊張が原因であると明言してはいないものの、大手電子商取引サイトの京東商城(JDドット・コム)<JD.O>上で、同社製品の検索ができなくなっていると述べている。京東商城はコメントしなかった。

中国小売サイト、聚美(Jumei)の最高経営責任者(CEO)は、短文投稿サイトの公式アカウントで、今後はロッテ製品を販売しないと述べている。ロイターは同社にコメントを求めたが回答は得られなかった。

「一部の小売企業は、政治的プレッシャーの結果として、ここ1週間でロッテ製品の販売を中止している」。中国小売業界の上級幹部は、匿名を条件にそう語った。

次ページ中国共産主義青年も対立を煽る行動
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事