従業員への「罰金」はいったい何がマズいのか セブン加盟店とビッグモーターで問題浮上

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これらの事実を踏まえると、前述した5つの条件すべてに違反する疑いがある。

1.就業規則ではなく、個別の書面で罰金制度に合意をさせていたので、条件1に違反
2.罰金の目的が「経営者が自由な時間が欲しかった」ということであり、減給の制裁として正当な目的とは言い切れないので、条件2に違反する可能性がある
3.賃金からの控除ではなく現金の徴収なので、条件3に違反
4.1回1万円の罰金額は、おそらくアルバイトの日給の半額を超えるので、条件4に違反
5.実際の運用状況にもよるが、無断欠勤のみを罰金の対象とするならともかく、急病である旨を連絡したうえでの急な欠勤もあると思われるので、一律に「急に欠勤」を罰金の対象にするのは社会的相当性を欠き、条件5に違反する可能性がある

ビッグモーターの事例

次にビッグモーターの事例である。

「前月の保険販売実績に応じて目標を達成できなかった店の店長個人から10万円を上限に罰金として現金を集め、達成した店の店長へ賞金として分配していた。この制度の運用は会社主導であったことが濃厚」ということである。

こちらも、ほとんどの条件に違反している可能性が高い。

1.会社は店長間で自主的に行われていたことと主張しているので、就業規則には罰金制度に関し定めはないと思われ、条件1に違反
2.ノルマに対する未達は、人事考課で考慮されるべき内容であり、企業秩序の維持のために罰金を科すことが正当とは考えにくいので、条件2に違反する可能性が高い
3.罰金を賃金からの控除ではなく、現金で集めていたので、条件3に違反
4.10万円の罰金は、本来の月給が100万円以上でない限り減給の制裁の上限を超えるので、条件4に違反していた可能性がある
5.売上目標未達で歩合給が支払われないということならばともかく、罰金まで科すというのは、社会通念上も「やりすぎ」であると考えられ、条件5に違反する可能性がある

 

読者の皆さまの会社でも、もし罰金制度が運用されていたら、5つの条件をすべてクリアして合法な罰金制度として運用されているかを確認してほしい。

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