「たくさん集めて落とす」新卒採用が変わる 学生が企業を逆面接?

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この日、逆求人フェスティバルに集まった企業は上場企業からベンチャーまで15社。開始の合図と共に、採用担当者らが学生のもとへ向かう。事前に登録されたプロフィルで、ある程度目星をつけているようだ。

「こんにちは。株式会社○○で採用を担当しております○○と申します」

担当者は名刺を渡しながら学生たちと軽く雑談し、30分ほどで控室に移動。「お見合い」の感触をもとに、個別に面談したい学生を専用アプリで指名する。ほどなく企業、学生双方のアプリに、面談のスケジュールが表示された。各30分8枠のすべてに予約が殺到する学生もいれば、最後の1、2枠しか埋まっていない学生もいる。なかなかシビアだ。

「逆求人フェスティバル」でブースに立つ学生たち。ほとんどは、リクルートスーツではなく普段着で、「素」の自分をアピール(写真:石臥薫子)

面談が始まると、学生たちはまず自己PR。クイズを出し、そこから「私の原点」を語り出す学生もいれば、少林寺拳法の道着姿で「なぜ体育会で少林寺なのか」をプレゼンする学生、インターンシップ(就業体験)でもらったという「特別賞」の賞状を見せながら「逆境でも諦めない」エピソードを語る学生などさまざまだ。「御社が社会にどんな影響を及ぼし、どのように社員の成長を後押ししているかお聞きしたい」と逆面接する強者までいる。

上智大学の瀧上志帆さん(22)は面接で頻繁に「学生時代に一番頑張ったこと」を聞かれたことに違和感を覚えていた。

「一番なんて決められません。留学、アルバイト、ドキュメンタリー制作、インターン、すべて全力で頑張ってきた。逆求人の面談は1社30分。一つ一つの経験をしっかり話し、自分という人間をわかってもらいたい」

「ここでは素の自分が出せる」

立命館大学大学院の清田和宏さん(24)は先輩から勧められて参加した。

「普通の面接では、会社に気に入られるように、という意識がどうしても働いてしまいますが、ここでは素の自分が出せる。後日、面談した企業の方からフィードバックがもらえるので、自分のPRがどういう会社に効果的だったかもわかります」

企業にとってこのスカウト型は、「上位校」や「理系」「体育会系」など、ターゲットを絞り込めるほか、「メジャーな就活サイト経由では出会えないような個性的、積極的な学生に会える」(大手情報・通信企業)のが魅力だ。

「ベンチャーでも、地方の優秀な学生に会える貴重なチャンスとなる」と期待するのは、映像を活用したコンサルティング会社「LOCUS」の池端威さん。昨年は、逆求人サイトで出会った地方の学生と、スカイプで面接を重ね採用までこぎつけた。

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