結局、「速読で勉強」は本当にできる事なのか 速読・記憶術の実践家と試験のプロが対面

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勉強の前に、まず「勉強法」を考える大切さを語り合った鬼頭氏と宇都出氏(撮影:今井康一)

鬼頭私が思うに、丸暗記の学習に人が走りやすいのは、大学受験の影響が大きいかなと。大学受験って穴埋め形式の問題が多くて、考える問題が少ないんですよね。なので丸暗記でもある程度いけてしまう。でもそのパターンの勉強に慣れてしまうと、難関試験でつまずくという人が出てきます。

特に司法試験は丸暗記ではなく、覚えた知識の応用力を試されますので、丸暗記では対応できません。理解が必要です。高い偏差値の有名大学に合格したのに、資格試験に合格できない人がいるのはこういった側面が大きいと思われます。「大学受験の成功体験」がある人ほど、勉強法に関するこだわりが強く、ざっくりできない傾向にあるかと。

階層構造を持つ記憶でないと使えない

宇都出記憶ってある程度、階層構造に整理されたものしか使えないんですよね。なので、始めはざっくり考えて、次に細かいところに入っていくというのがいちばんいいんですよ。

鬼頭私も同感です。この知識の応用力って、実生活でも大きな影響があると思いますね。たとえばニュースでトランプ大統領の行動を「アメリカが保守主義に走っている」と報道していれば、多くの人は何も考えず1つの事象として受け取ります。でも実際にその裏側では、ロシアや中国との関係があったり、いろいろな事象とつながっています。でも日頃から他の情報を収集して、またこの点と点をつなぐ努力をしていないと、なかなか難しいんですよね。同じニュースであっても、見る人によって受け取り方や考え方も全然違うんじゃないかと思います。

宇都出そうですね、ストックがないと字面しか追えないですもんね。

鬼頭ストックがないと、たとえば「貿易黒字」という文字を見ただけで、圧倒されてしまいます。でもそういう事象に慣れてきて理解し始めると、貿易黒字以外の要素もプラスでちょっと記憶する余裕が出てきます。このプラス姿勢って非常に重要だと思いますね。「この奥には何があるんだろう?」という問いを立てるというか。

宇都出いわゆる「好奇心」があるかっていうことですね、好奇心を持っているかどうかで、問いを立てるかどうか、さらには理解のレベルが大きく変わってきますよね。

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