結局、「速読で勉強」は本当にできる事なのか

速読・記憶術の実践家と試験のプロが対面

宇都出結局、知ってることは速く読めるんです。私も「速読=能力開発」と思っていたので、自分が実践している方法は速読法ではないと思っていた時期がありました。でも速くまわすことにより理解度も速まり、その結果大量の本が読めるようになります。それに気づいたときに、自分の速読に対する思い込みの呪縛から解けた感じでしたね。後から知ったんですが、認知科学の分野でも、ストックをためながら読むことは正統的な勉強法として確立されていて、合理的な方法でした。

宇都出 雅巳(うつで まさみ)/1967年生まれ。東京大学経済学部卒、出版社、コンサルティング会社に勤務後、ニューヨーク大学留学(MBA)。外資系銀行を経て2002年に独立し、トレスペクト教育研究所を設立。30年にわたり心理学や記憶術、速読を実践研究し、脳科学や認知科学の知見を取り入れた独自のコミュニケーション法、学習法を確立。企業研修やビジネスパーソン向け講座・個別指導を行う(撮影:今井康一)

鬼頭私の経験にはなってしまうのですが、同じものを何回も読んでいると、ストックの歩留まりが悪くなってくる時期ってきませんか。

たとえば、30点分の知識はスムーズに得られたけど、40点にするには倍の時間がかかったり。また自分の知識が偏っていて、重要なところを案外理解していなかったり。

私はそんな時期がきたら、テキストを見たり講義を聞くよりも問題を解くほうが良いと考えているのですが、宇都出さんはどのようにお考えでしょう。

宇都出もちろん記憶定着のためには、アウトプットが必要です。でもアウトプットって問題集をやることがすべてではないと考えています。高速大量回転法で速読をしながら、同時にアウトプットをしていくことも可能です。

鬼頭おもしろいですね、速読しながらのアウトプットって、具体的にはどのようにしていくんですか。

速読の際に意識すべきポイントがある

宇都出時々「100回繰り返してもわからなかった」という声をいただくこともあるんですが、ただボーッと読むだけ、字面を追いかけるだけでは理解を得ることはできません。わからないのは当たり前で、大事なのは「ここはわかる」「ここはわからない」というところを分けるような感覚を持ちながら読み進めることです。

鬼頭わかる箇所は繰り返すことにより記憶定着していくと思いますが、わからない箇所も何回も読むうちに理解できるようになる、ということでしょうか。

宇都出「わからない」にもレベルがあります。最初は何がわからないかもわからない状態から、繰り返すことによりストックがたまり、「要はここがわかってないから、わからないんだ」という問いがだんだん立ってきます。この「問いが立つ」ことが大事です。これによって読む質が高まります。このためにもわからないところで一生懸命頑張らないこと、止まらないことです。

「ああでもない、こうでもない」という努力は結構報われなかったりします。気がついたらそれで1時間経っていたりとか。まさに木を見て森を見ず、です。それよりは繰り返し読むほうが効果があります。

鬼頭試験に間に合わない人たちにはそういうパターンが多そうですね。完璧主義というか。そのほかにはどういうアウトプットをすればいいのですか。

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