結局、「速読で勉強」は本当にできる事なのか 速読・記憶術の実践家と試験のプロが対面
宇都出:結局、知ってることは速く読めるんです。私も「速読=能力開発」と思っていたので、自分が実践している方法は速読法ではないと思っていた時期がありました。でも速くまわすことにより理解度も速まり、その結果大量の本が読めるようになります。それに気づいたときに、自分の速読に対する思い込みの呪縛から解けた感じでしたね。後から知ったんですが、認知科学の分野でも、ストックをためながら読むことは正統的な勉強法として確立されていて、合理的な方法でした。
鬼頭:私の経験にはなってしまうのですが、同じものを何回も読んでいると、ストックの歩留まりが悪くなってくる時期ってきませんか。
たとえば、30点分の知識はスムーズに得られたけど、40点にするには倍の時間がかかったり。また自分の知識が偏っていて、重要なところを案外理解していなかったり。
私はそんな時期がきたら、テキストを見たり講義を聞くよりも問題を解くほうが良いと考えているのですが、宇都出さんはどのようにお考えでしょう。
宇都出:もちろん記憶定着のためには、アウトプットが必要です。でもアウトプットって問題集をやることがすべてではないと考えています。高速大量回転法で速読をしながら、同時にアウトプットをしていくことも可能です。
鬼頭:おもしろいですね、速読しながらのアウトプットって、具体的にはどのようにしていくんですか。
速読の際に意識すべきポイントがある
宇都出:時々「100回繰り返してもわからなかった」という声をいただくこともあるんですが、ただボーッと読むだけ、字面を追いかけるだけでは理解を得ることはできません。わからないのは当たり前で、大事なのは「ここはわかる」「ここはわからない」というところを分けるような感覚を持ちながら読み進めることです。
鬼頭:わかる箇所は繰り返すことにより記憶定着していくと思いますが、わからない箇所も何回も読むうちに理解できるようになる、ということでしょうか。
宇都出:「わからない」にもレベルがあります。最初は何がわからないかもわからない状態から、繰り返すことによりストックがたまり、「要はここがわかってないから、わからないんだ」という問いがだんだん立ってきます。この「問いが立つ」ことが大事です。これによって読む質が高まります。このためにもわからないところで一生懸命頑張らないこと、止まらないことです。
「ああでもない、こうでもない」という努力は結構報われなかったりします。気がついたらそれで1時間経っていたりとか。まさに木を見て森を見ず、です。それよりは繰り返し読むほうが効果があります。
鬼頭:試験に間に合わない人たちにはそういうパターンが多そうですね。完璧主義というか。そのほかにはどういうアウトプットをすればいいのですか。
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