結局、「速読で勉強」は本当にできる事なのか

速読・記憶術の実践家と試験のプロが対面

宇都出「思い出しながら読む」という作業です。繰り返し読むと、読んでいるようで自分がすでに持っている記憶を思い出す作業になってきます。要は、記憶がストックされているので、潜在記憶により「あっ、あれがもうすぐ出てくる」とか、試験しているような感覚で読むことができるのです。「100回読んでもわからない」と言う人は、この感覚に気づいていない方がほとんどです。

「アウトプットは大事。『思い出す』作業も一種のアウトプット」と話す鬼頭氏(撮影:今井康一)

鬼頭なるほど。確かに、私も「アウトプットはたくさんやったほうがいい」と言うのですが、「人に説明することもアウトプットだ」とよく言います。

人に説明するまでいかなくても、自分の中で思い出すというのも一種のアウトプットですね。

宇都出この「思い出す」を自覚的にやるのは結構高度なんですが、勉強のできる人とできない人の違いはここにあります。たとえば、予備校の授業が終わった後に帰り道で思い出しながら「あれ、こうだったよな」と考えられるかですね。「ああ、今日の勉強は終わった」と考える人とは、もうこの時点で実質勉強時間が大きく異なっています。

鬼頭確かに言われてみれば、私も結構見えないところで自然とやっていました。

勉強における「語る」「聞く」の効用

宇都出鬼頭さんがおっしゃった「語る」もとても重要です。人って何回も繰り返していると「ああ、知ってる知ってる、思い出せる」って勘違いしてしまう時があります。でも「語る」をそこに入れると、論理的に理解できているかを最終チェックすることができます。段階的には「思い出す」がいちばん敷居が低くて、次は「語る」、最後が「書く」ですね。でも「思い出す」が難しいと感じる人もやはりいるので、そういう方には「音声」を活用していただきたいと最近勧めています。

鬼頭音声? 「聞く」という作業ですか。

宇都出:そうです。実は私、音声は結構否定派だったんですよ。音声はざっくり、とはできないじゃないですか。飛ばし読みはできても、聞き飛ばしはなかなかできません。でも考えてみたら、音声って読むのに比べて努力がいらないんですよね。慣れていない人が「思い出す」作業をするうえで、音声をきっかけに思い出すことは敷居が低いと感じています。目次だけでも音声に吹き込んでおいて聞く、みたいな。

鬼頭音ってイメージ記憶がしやすいですよね。「あっ、ここってこの前歩きながら聞いたとこだ」みたいな。

宇都出そうですね、それで思い出す癖をつけてみるのがいいかと思います。

鬼頭あらかじめ過去問を読んでいたら、思い出しながら「この部分って試験ではこう問われるよな」とか予測もできますよね。

宇都出試験問題を作成する人の視点から問いを立てるのは効率が非常にいいです。実際、私も先日受講生から「公認会計士を受けるんですが、このテキストはどう読んだらいいんでしょうか?」と聞かれたことがありました。その時にも「とりあえず過去問を読ませて」と言いました。「こういうふうに問われるんだ」ということをあらかじめ把握するんですね。そうするとテキストを読んでいて引っ掛かる部分が出てきます。いきなりテキストを読み始めても、ただ字面を追いかけるだけになりがちです。引っ掛かる部分が出てこないとなかなか理解・記憶が進んでいきません。

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